被爆から80年となる今年8月9日の平和祈念式典で長崎市長が読み上げる平和宣言文の内容を話し合う起草委員会が開かれ、宣言文の素案が示されました。
素案では、誰しもが核兵器が存在する世界にいる当事者であることを強調。強まる核抑止力への依存に対して危機感を示し、核兵器廃絶に向けた多国間の枠組みや日本政府の役割の重要性を訴えています。
また、去年、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協にも言及。世界に向けて核兵器廃絶を力強く訴えた被爆者のスピーチを引用しながら、連帯や行動を呼びかける内容となっています。
これに対して、複数の委員が「地球市民」という言葉を入れることで「メッセージ性が強まる」などと指摘。
ほかにも、被爆者たちが苦しみを抑えながら、「人類の危機を救おう」とした日本被団協の結党宣言やその後の歴史を盛り込んでもいいのではないかという意見や、政府に対して「核兵器禁止条約への署名・批准を明確に求めるべきではないか」という意見があがりました。
素案には委員が「異例なケース」と指摘した内容も。冒頭では被爆者である両親に触れながら、鈴木市長自らが「私」という一人称を使って、自身のことを伝えています。
【鈴木長崎市長】
「当事者意識をすべての人に持っていただくためにということを特に力を入れました分断を乗り越えて、世界が1つになって核兵器のない世界の実現に向けて取り組む必要がある」
「両親がもしかしたら原爆で亡くなっていたかもしれない。決して特定の誰かではなくて世界中の誰でも今の状況であれば起こり得るんだということを改めて共有していただきたい。そういうことから私自身のことから触れさせていただきました」
「皆様方のご意見、そしてそこに反映されている市民の皆様の思いがしっかり盛り込まれるようにまた準備していきたい」
長崎市は今回の意見をもとに素案を修正し、来月5日(土)の会合で最終案を示すことにしています。