被爆から80年となる今年8月9日の平和祈念式典で長崎市長が読み上げる平和宣言文の起草委員会の初会合が開かれ、被爆者や有識者、若者の代表ら15人が意見を交わしました。
鈴木史朗長崎市長:
「今年は被爆から80周年の節目の年でございます。核兵器がある世界の歴史が始まってからも80年ということになります」
委員長の鈴木市長は、去年、日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことは「被爆者の努力や労苦が国際社会に認められた証」「核兵器使用の脅威が高まる世界に警鐘を鳴らす受賞だ」として改めて祝意を示しました。
また4月自らも出席したNPT再検討会議第3回準備委員会が最終合意に至らず閉幕したことは「大変遺憾な状況」だとして「分断や対立が進み、国際情勢が緊迫度を増す今だからこそ被爆地の声は重要」と述べました。
鈴木史朗長崎市長(57):
「微力だけども無力じゃないということでですね。一人ひとりの力を積み重ねることで大きな力にしていく。それによって長崎を最後の被爆地にしていく」
Peace by Peace NAGASAKI代表・前田真里委員:
「恒久平和の実現に向けた地球市民の連携の必要性、そして平和っていうのは一個人から始まるんだよ。ということをメッセージとして組み込むことが出来たらと思っております」
核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)東アジアコーディネーター・梅林宏道委員:
「被爆80年というのは被爆者の生の声を直接聞くことが出来なくなる節目」
今年、長崎市は、原爆犠牲者の慰霊と世界恒久平和の祈念という平和祈念式典の本旨を踏まえ、恩讐や分断を越え、去年招かなかったロシアやベラルーシ、イスラエルを含め、日本に在外公館を置く157全ての国と地域に招請状を送ります。
委員からは、日本被団協の元代表委員で、被爆者として初めて国連で演説した長崎の被爆者、故・山口仙二さんや二重被爆者の故・山口彊さんら被爆者の言葉を引用し、被爆の実相や核兵器廃絶を訴えるべきとの意見やウクライナ侵攻とガザ攻撃の停戦、原爆投下正当化論や核抑止論との対峙、核使用を許さない国際規範「核のタブー」の強化、核軍縮・廃絶へ、核保有国と非保有国の国境を越えた次世代の連帯などを求める意見が出ました。
鈴木史朗長崎市長:
「被爆の実相を訴えて、そして核兵器がいかに非人道的、残虐なものであるのか、それが使用されるとどんな悲惨な結末が起こるのか、そういったことをしっかり訴えながら、核兵器は使用してはならない。そして持ってはならないということを世界に向けて訴え、その中でNPT(核拡散防止条約)の議論の進展を我々としてしっかり後押し出来ればと思います」
次回は6月7日に開き、市が素案を示します。