長崎市諏訪神社の秋の大祭長崎くんちは1日、踊町の稽古始めの神事「小屋入り」が行われました。
6月1日午前8時前、今年で創建400年の諏訪神社に、シャギリの音が響き始めました。「小屋入り」は江戸時代、踊町が小屋を建て、稽古に専念したことに由来します。
今年の踊町は6カ町。
最初に訪れた西古川町は351年の歴史を持つ相撲にちなんだ演し物、「櫓太鼓」と「本踊」を奉納します。
西古川町川端通り会・岩永和之会長(68):
「きょう、本当に日本晴れ。これを良い皮切りにして素晴らしい奉納をできるように一生懸命頑張りたいと思います」
次に訪れたのは新大工町。
勢いよく山車を曳き回す「曳壇尻」と「詩舞」を奉納します。
新大工町 白采・児島正吾さん(47):
「新大工町の歴史を、文化を、伝統を築いている責任感を今、出場者に植え付けている段階です。見ている人たちに感動してもらえるような奉納をやりたいなというのを目標にして稽古に励んでいます」
諏訪町は「龍踊」。
「青龍」と「白龍」が勇猛に舞い踊り、「子龍」や「孫龍」も登場します。
龍方として初めて諏訪の舞台を踏む長崎市出身の金出大和さん、23歳。東京大学公共政策大学院の2年生です。東京では社会人の龍踊サークルに所属していて長崎の文化を発信する活動もしています。本番まで地元・長崎に帰省し、稽古に励みます。
諏訪町 龍方(初出演)・金出大和さん(23):
「見て下さる観衆の方々に喜んでもらえるようなかっこいい演舞を見せたいなと思っています」
榎津町は、スピード感あふれる豪快な船回しが持ち味の「川船」です。町の役員としてJチャン長崎「還暦記者どこへ?」でおなじみの松尾高志記者も参加します。
網打ち船頭を務めるのは小学3年生の古賀優多くん、8歳です。父親で根曳の友一朗さん(38)も31年前に船頭を務めました。
榎津町 根曳・古賀友一朗さん(38):
「出来ることをどんどん教えていきたいと思ってますので、10月に良い奉納ができるように頑張ります」
榎津町 船頭・古賀優多くん(8):
「稽古で頑張ったことを全部出し切りたいです。一投一投を大切に投げたいです」
賑町は、町内の恵比寿神社にちなんだ「大漁万祝恵美須船」。
大漁を祝い踊場を所狭しと曳き回します。
賑町 長采・立岩直樹さん(52):
「豪快さとか雄大さとか、ダイナミックな船回しをご堪能いただければと思っています」
新橋町は、長崎検番の芸子衆が異国人を演じるコミカルでユニークな本踊「阿蘭陀万歳」を奉納します。
新橋町 万歳役・茶々丸さん(長崎検番):
「普段の日本舞踊と違いますので、演技がかってるのは、表情だったり、動きだったり、『茶々丸ってこんなこともできるんだ』って思ってもらえるようにお稽古に励みたいと思っております」
新橋町 才蔵役・桃羽さん(長崎検番):
「長く培われた歴史がその1ページの1コマに自分がいるということがとても大切なとてもすごい経験なので、踊りを今から頑張らんといかんなって思います」
出演者らは諏訪神社と八坂神社で清祓いを受け、2015年以来10年ぶりの奉納踊の無事達成を祈願しました。
小屋入りのあと、各踊町は、町の関係者への挨拶回り「打込み」に繰り出します。
大分から来た観光客:
「おくんちは結構来てるんですけど、打込みは初めて見に来たので、感動しました」
長崎市民:
「いよいよおくんちの稽古が始まるなという感じですね。今から稽古とかも追っかけを始めようかなと思っています」
各踊町はそれぞれ異なる囃子を披露し、町中にシャギリの音や威勢のいい掛け声が響き渡りました。
諏訪神社のさじき券は、7日(土)の午前7時から、境内のさじき運営委員会の事務所で販売が始まります。