6月1日から職場での熱中症対策が義務化されるのを前に、長崎労働基準監督署が説明会を開きました。
長崎労働基準監督署が法改正の周知のため初めて開催した「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」。熱中症対策に先進的に取り組む西彼・時津町の「日本ビソー」で開かれ、従業員や協力企業など約80人が参加しました。
厚生労働省は、6月1日から労働安全衛生規則を改正し、暑さが厳しい労働環境で熱中症患者が発生した場合に備え、連絡態勢の整備や症状の悪化を防ぐための措置を事業者に義務付けます。
長崎労働基準監督署井上和秀署長:
「作業を中断し、体を冷やして医療機関に搬送するための手順を作成していただくほか、これを関係労働者に周知しておくことが求められています」
熱中症による労働災害は年々増えています。昨年度は全国で1195人と過去最多を記録し、県内でも24人が労働災害に認定されています。死者は全国で3年連続で30人台で、そのほとんどが初期症状の放置や対応の遅れが原因です。県内では2021年7月、建設現場で壁の改修作業をしていた50代の男性が熱中症で死亡する労働災害が起きています。
長崎労働基準監督署井上和秀署長:
「全国的にも長崎県は(熱中症の労災が)上位の発生件数でありますので、これからしっかりと指導を進めていきたいと思っています」
説明会では、産業医による熱中症のメカニズムの解説で理解を深め、導入している対策グッズなどが紹介されました。
日本ビソー長崎事業所中村裕介所長:
「熱中症対策ウォッチを入社3年未満の未熟練者に支給しており、色・音・振動で熱中症の危険度をリアルタイムで警告し、体調が悪くて無理をしがちな若手に配慮している」
安全衛生保護具を製造・販売する企業は、熱中症対策グッズの需要が高まり、商品のラインナップも年々増えていると話します。
ミドリ安全セフティ&ヘルス統括部仁部屋裕也営業部長:
「労災の中で唯一、管理すれば防げる災害なので、管理者と作業者の方、国の機関、みんなで守っていこうというのが厚労省の法改正のメッセージだと思う」
消防による熱中症患者の対応訓練では、自力で歩ける軽症者から意識のない重症者まで複数のケースを想定し、手順を確認しました。
長崎労働基準監督署は、5月30日に出島メッセ長崎で県内の事業所約150社を対象とした説明会を開き、周知を進めていくとしています。