今年に入り、長崎県内で死亡労働災害が多発していることを受けて長崎労働基準監督署が業界団体などに労働災害防止への取り組みの強化を要請しました。
要請を受けたのは、県内の建設業や林業などの労働災害防止団体と造船、採石、解体工事などの業界団体、合わせて25団体です。チェックリストを使った安全管理の徹底や労災防止意識の向上などを呼び掛けています。長崎労働基準監督署は今後、労災防止団体と合同で作業現場の安全パトロールや、事業所への集中的な個別指導を実施します。
長崎県労働基準協会長崎支部安全部会・大坂敏郎副部会長:
「年間無災害達成に向けてしっかり安全管理活動を行ってまいります」
県内では今年1月から5月までに労働災害が527件発生し、6人が亡くなっています。
長崎市深堀町の福岡造船では1月、建造中のケミカルタンカーのタンクの底の部分で、44歳の男性作業員が死亡していました。タンク内の昇降設備から約12メートル下に転落したと推測されています。
また3月には、建造中のケミカルタンカーのタンク内で、溶接作業中に火災が発生し、34歳の男性作業員が死亡しました。
4月には、アメリカ海軍佐世保基地で艦船に横付けした汚水処理船の船内で当時54歳と33歳の日本人作業員の男性2人が汚水処理槽の中に入り、硫化水素中毒の疑いで死亡しました。
長崎労働基準監督署・井上和秀署長:
「墜落、転落災害とか、挟まれ、巻き込まれ災害というのが増えておりますので、職場の中でそういった危険な箇所がないかどうか、しっかりパトロールしていただいて、早めに危険な箇所を見つけられたら、しっかり安全対策を講じていただきたい」
このほか造船作業や交通誘導、ガソリンスタンドでの給油業務、農作業、配達業務などでの熱中症の発生も2年連続で増えています。長崎労働基準監督署は小まめな水分補給や、暑い日は仕事を中断するなどの対策を呼び掛けています。