画期的な科学研究をたたえる今年の「ブレークスルー賞」に国際共同研究のプロジェクトチームが選ばれ、日本から参加した長崎総合科学大学の研究者が受賞を報告しました。
長崎総合科学大学・大山健教授(高エネルギー原子核物理学):
「大きい所に属している研究者というのはone of them(多くの中のひとつ)なんで日の目を見ることもないないだろうなとずっと思っていたので、こういうこともあり得るんだと思ってうれしかったですね」
「ブレークスルー賞」は2012年にアメリカのグーグルの創業者らが設立した国際的な学術賞で「科学界のアカデミー賞」とも称されています。
基礎物理学部門は、スイスとフランスの国境にまたがる欧州合同原子核研究機関の大型の衝突型加速器で素粒子の実験を行った4つの国際共同研究プロジェクトチームが受賞しました。
この賞は、2015年から2018年の期間に取得したデータに基づくもので、70カ国を超える約1万3500人に贈られました。日本からは東京大学なども参加しています。総科大からは、大山健教授や濱垣秀樹特命教授、下島真教授に加え、大学院生3人が2つの実験に参画しました。
大山教授は「原子核をほとんど光の速さまで加速し、衝突させ、2兆度を超える超高温物質を作り出し、その性質を詳細に調べる実験に成功したことが評価された」と強調しました。
大山教授が率いるグループは、この実験に用いるセンサーや電子回路の開発、データ解析を担当し、実験を成功に導きました。
長崎総合科学大学・大山健教授:
「基礎物理学の限界を前例のない領域まで押し広げて受賞につなげた」
大山教授は今回の受賞を若い研究者の育成や産業界の発展につなげていきたいと期待を込めました。
「ブレークスルー賞」はiPS細胞を開発し、ノーベル生物学・医学賞に輝いた京都大の山中伸弥教授らも受賞しています。