核兵器廃絶運動をけん引してきた被爆者の思いに触れます。平和への願いを込めた朗読会が長崎原爆資料館で開かれました。
朗読会は、長崎市のボランティア「被爆体験を語り継ぐ永遠の会」が、原爆が投下された8月9日にちなみ、毎月9日の原爆炸裂時刻・午前11時2分に実施しています。
谷口稜曄さん(享年88)の体験記:
「私は当時16歳で爆心地から1.8キロの所を自転車で走っていて被爆しました。3000℃とも4000℃ともいわれる熱線と目には見えない放射線によって自転車に乗ったまま後ろから焼かれ、爆風によって道路にたたきつけられました。私の傷からは一滴の血も出ず痛みも全く感じなかったのです」
今回は、いずれも故人で、去年、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の設立当初から関わり、核兵器廃絶運動に半生を捧げた渡辺千恵子さん(享年64)、山口仙二さん(享年82)、谷口稜曄さん(享年88)の体験記を朗読しました。
谷口稜曄さん(享年88)の体験記:
「今では人間の手によって、世界の文明文化や科学が発達し、指先一つで世界人類を何十回も殺すことができるよう核兵器がありますが、私達の身体から原爆の後遺症を取り除く医学は見当たらないしこれから何十年もたっても不可能でしょう」
原爆資料館を訪れた観光客や市民らは静かに耳を傾けていました。
茨城・つくば市から:
「戦争を体験したとか原水爆を体験した人がますますいなくなっていく中で私たち、残っている人間の役割が大切だと思いました」
長崎市民:
「被爆者の声を聞いてその思いを引き継ぐというのは大切だと被爆者の声を自分の言葉で伝えるというのは難しいですけど、来られる時は来ていますが、きょうは特別にいつもに増して真剣に聞けました」
被爆体験を語り継ぐ永遠の会・前川智子さん(77):
「ノーベル平和賞に合わせて歴史的なこと多分多くの方はご存じないんじゃないかなと思うので、被爆者運動を立ち上げたそういうプロセスも話せたらいいなと思いました」
谷口稜曄さん(享年88)の体験記:
「私は人間が人間でなくなることを体験した者として、再び私達のような人間を作らないため世界の人々に訴えます。核と人類が共存できないことを核兵器で、人類や地球を守ることができないことを私も核の無い世界を見とどけるまでは、安心して死んでいくことはできません」
次は5月9日(金)、長崎原爆資料館で開催されます。