長崎市の長崎大学病院は来月から病床数を1割以上削減すると発表しました。
地域の医療を取り巻く環境に、一体何が起きているのでしょうか?
長崎大学病院は高度で質の高い医療を提供する県内唯一の特定機能病院に指定されています。24時間体制で病状の不安定な人を検査・処置ができる高度急性期機能の827のベッドを有します。
その大学病院は12日、病床機能の適正化の取り組みとして来月1日から一般病床を827床から729床に再編すると発表しました。減らすベッド数は98床、1割以上にあたります。
長崎市内では先月から長崎みなとメディカルセンターがベッドを30床減らしたばかりです。背景にあるのは長崎県が全国より早く進む人口減少・少子高齢化です。
新年度、長崎地区の高度急性期のベッド数は908床、一方で必要な数は651床と見込まれ、257床が余ると予想されているのです。大学病院だけ見ても直近5年間の受診患者数は2019年度のコロナ禍に急激に減少し、その後、わずかに増加傾向にあるものの新型コロナが5類に分類された2023年以降もコロナ禍前の水準には達していません。
長崎地区2つの病院のベッド数削減について県医療政策課は「去年も地域内でベッドが過剰な状況だったので問題ない」としています。また現在ほかの病院からは病床数削減の申し出は受けていないとしています。
長崎大学病院は今回の病床再編で急変のリスクが高い患者に手厚い医療を提供できるHCU=ハイケアユニットのベッドを8床新設します。
また再編後に生まれるスペースをリハビリテーションスペースとして利用するなど有効活用し、より高度で質の高い医療を提供する取り組みを進めるとしています。