県内からオリンピック出場を目指す高校生が卒業の日を迎えました。夢に挑む修行の道へ。決意に密着しました。
【小川大和選手(18)】
「大きな目標はオリンピックに出場して優勝することです」
南島原市西有家町出身。県立島原高校3年の小川大和選手・18歳。
「負けず嫌いとレスリングが本当好きっていうのが一番あります」
【小学1年生の時】
「レスリングの世界チャンピオンになること」
年中の時におもちゃが欲しくて始めたレスリング。その才能は小学生で開花し、小学6年生で二度の日本一。中学3年生で全国選抜2位に輝くトップレベルの選手に成長。
3年前、島原高校に入学し、同時に母校に赴任した伊藤優監督のもと、練習に励んできました。
【レスリング部・伊藤優監督(31)】
「組手のうまさだったり、スピードというのは、高校生でも十分通用する技術を持っているなというのが最初の印象ですね」
【小川選手】
「伊藤先生の技だったりディフェンスの仕方だったりずっと観察して、先生に勝たないと日本一は取れないなと考えてて、日頃の練習では先生に勝つことを考えながらやってました」
2年生の時、17歳以下の世界選手権と東アジアユース大会の男子フリースタイル51kg級で2つの金メダルを獲得しました。
しかし去年3月、階級を55kg級に一つ上げて臨んだ全国選抜は、8対0とリードしながらもラストで逆転され、準決勝敗退(8対9)。悔しい結果となりました。
「自分で思っていないようでどこかでプレッシャーだったりを感じていたのか、勝ってたんですけど、最後の最後にやられてしまって、その時は本当にレスリングやってきて一番落ち込んだ時期はありました」
試合後、レスリングを辞めようと思うほど落ち込んだ小川選手を再び奮い立たせたのは、伊藤監督の言葉でした。
【伊藤監督】
「見たことない本人の様子でした」「『まだ全然終わりじゃないよって、まだ1年あるし、高校生でも終わりじゃないし、大学、社会人とこれから先また続いていくので、次、次、次、その先を見てまた努力していこう』って話をしたんじゃないかなと思います」
【小川選手】
「本当に落ち込んでたんですけどその言葉を聞いて『もう一回頑張ろう』、『インターハイで絶対やり返してやる』という気持ちになりました」
「チャレンジャー」の気持ちで臨んだ去年8月の北部九州インターハイ。順当に勝ち上がり、決勝では、残り30秒を切ってから2ポイントを奪い、4対1で優勝。3度目のインターハイで悲願の金メダルに輝きました。
最初に喜びを分かち合ったのは恩師・伊藤監督でした。
「もう死ぬ気でやってきたんでうれしいの一言です」「日本一を取るためにたくさんのきつい練習も乗り越えてきて、チームのみんなや先生方に声をかけてもらって、自分も折れそうになった時に助けてもらたんで、この勝ちは自分の勝ちじゃなくて、チームで取った日本一かなと思います」「結果で恩返し出来て本当良かったです」
高校日本一に輝いた小川選手の強味はー
「基本レスリングは正面で戦うんですけど、組手というのが大事になって、組手で相手の横に引いて、この隙間にタックルを入るというのが僕の得意な技です」「相手は横からだと弱いのでスピードとパワーがあれば取れるという技です」「何も考えてなくても体が勝手に動くくらいまで出来れば試合でも問題なく出来るので僕は普段の練習からそういうところを意識しています」「僕の良さっていうのは前に出ることと、組手だったりカウンターがあるので、相手のやりたいことをつぶして相手の動きをさせずにまず自分がアタックしていくというので、自分がやりたいことを出す」
昨年末には、社会人や大学生も出場する全日本選手権に挑戦。2回戦敗退でしたが、スタイルを崩さずに自分の持ち味を出し、明確な目標も見えました。
「いい経験にはなったし、この人たちを倒さないとオリンピックには出られないという、この選手たちを倒したいという気持ちに今はなっているので、それに向けて日々頑張っていこうかなと思っています」
この春からは、レスリングの名門、日本体育大学に進学します。
「日体大のタオル、さっきもらって使ってて、オリンピックで優勝した選手だけじゃなくて、全日本のトップの選手とかもそこで練習しているのでそういうトップの選手と練習できるのが楽しみです。早く向こう行って練習したいです」
課題は、筋力と持久力アップ。世界王者や国内トップクラスの選手がひしめく日体大の練習に慣れることです。
「もう一つ蹴上がりって分かりますか?この状態から上がるやつあって、それ多分朝練習でする、僕1回しかできなくて。Q:それを何回するの?いや分かんなくてみんなバンバン上げているので遅れとらないように」
恩師や後輩たちも次のステージでの活躍を期待しています。
【レスリング部2年・稲本康紀主将】
「普段は一緒にふざけたりしているんですけど、レスリングになると目の色が変わってすごい選手になるんで憧れています」「日体大に行って次のオリンピックだったり、大学での大会で活躍してほしいと思っています」
【伊藤監督】
「苦労もあると思うんですけど、そこをまた乗り越えながら一回りも二回りも強くなって、違う環境の中で関わる人たちに感謝をしながら、自分の目標を達成できるように頑張ってださい。(小川選手)はい、頑張ります」
迎えた卒業式。卒業生192人の代表として小川選手が答辞を読み上げました。
「今の私の目標は、3年後のロサンゼルスオリンピックに日本代表として出場することです」「この島原高校レスリングで経験し学んだ考える力は、どんな困難にも立ち向かうことのできる協力な武器になると思います」
【クラスメイト・山本晃太郎さん】
「3年後のオリンピックに自分たちも見に行きたいなと思っているので、実現できるように頑張ってほしい」
【クラスメイト・又吉泰己さん】
「頑張れ!頑張れ!」
18日には、東京へ向かう小川選手。恩師や仲間と共に日々、汗を流した島原高校のレスリング場。ここでの練習も残りわずかです。
「本当にレスリングを辞めたいと思った時もあったんですけど、そんな時、伊藤先生、内田先生に声を掛けてもらって、ここまで強くなれました。教えてもらったことを忘れず大学でも自分の目標に向かって頑張ります」
「そして家族には、たくさん色んなところで支えてもらってここまで成長できました。本当にありがとうございます。絶対目標のオリンピック優勝を達成します」
この春、新たな一歩を踏み出す小川選手の決意はー
「私の目標オリンピックチャンピオンです」「今までの感謝の気持ちを忘れず、日頃支えてもらった分、自分がオリンピックに出てしっかり優勝して、結果で恩返しをしたいなという気持ちになりました」「大学ではしっかりレスリングの面でも妥協せず上の選手たちを全員倒していって、人間としてもレスリングだけじゃなくてお手本となるような選手になりたいと思います」
小川選手の日体大入学後の初戦は4月、JOCジュニアオリンピックカップ20歳以下の全日本選手権です。