長崎市茂里町の「みらい長崎ココウォーク」にあるTOHOシネマズ長崎で、医療的ケアが必要な子どもたちとその家族が映画を楽しめる「インクルーシブ映画上映会」が開催されました。
主催したのはNPO法人AYA。代表理事の医師・中川悠樹さん(41)が中心となり、2022年に設立した団体です。中川さんは「声を出しても走り回っても、医療ケアをしてもらってもOK」とし、医療的ケアが必要な子どもたちでも安心して映画を楽しめる環境を提供しました。
上映会は、照明を通常よりも明るくし、音の大きさにも配慮するなど、医療的ケアを行いやすい工夫が施されています。大村市から参加した山口帆月さん(8)は、ダウン症とファロー四徴症を患っています。父親の靖英さんは「映画は初めてで落ち着きがないので、この機会に行きたいと思った」と語りました。
NPO法人AYAは、病気や障がいを持つ子どもたちやその家族の外出を支援するために設立され、各地のボランティアスタッフが支えています。
この日は医師や看護師も付き添い、約193人が集まりました。
ボランティアスタッフの看護師は「映画を見たいけど見に来られない子どもたちの力になれてうれしい」、
大学生ボランティアの神近美空さん(19)は「子どもたちの笑顔が見られてうれしい」と話しました。
長崎市から参加した中山ファミリーの長男・湊智くん(8)は、悪性脳腫瘍「髄芽腫」と診断され、様々な医療的ケアが必要です。母・奈々子さんは「何も心配せずに参加できるイベントは助かる」と話し、父・雄介さんも「映画館で映画を見るという特別な一日になった」と感謝の意を示しました。
NPO法人AYAは、これまでに北海道や神奈川、愛知、広島など各地で上映会を開催し、長崎は21都道府県目の初開催となりました。中川さんは「2026年の3月までに全国47都道府県で上映会を開催する」との目標を掲げています。
「AYAインクルーシブ映画上映会」は、映画を楽しむ子どもたちや家族にとって貴重な思い出の時間となり、多くの笑顔があふれるイベントとなりました。