長崎市松山町の陸上競技場の移転をめぐり、市民や被爆者らが陸上競技場での調査を求めた請願が市議会の委員会で審議され、不採択となりました。
請願人・池田ひとみさん(70):
「いまだに少なくない被爆死者の遺骨が眠るとされる聖地です。少なくても市がまず早急に慎重な現地調査と資料検討、精査を行い、その結果を公表するよう強く要望します」
南北幹線道路の建設に伴い、長崎市は市民総合プールを現在の陸上競技場に移し、400メートルトラックは茂里町の下水処理場跡に整備する計画案を示しています。
市の計画案に反対する市民や被爆者ら53人は、陸上競技場での発掘調査を市に求める請願を市議会に提出し、教育厚生委員会が4日から審議していました。
委員会で、市側は、証言記録から被爆直後に地元住民によって多くの遺骨がすでに収集されていると指摘しました。
市被爆継承課・田中祐介課長:
「骨片状のかけらなどが出てくる可能性は否定できませんけども、現時点では当時に相当量が収骨されている。今の時点で調査をするよりかは、もし掘り起こして出てきた場合には丁重に扱いたいと考えております」
教育厚生委員会 委員・吉原孝市議(請願に反対):
「家内は新橋町ですから、中島川のすぐそばで多くの人が荼毘する姿を見た。いま中島川を歩くときは南無阿弥陀仏と言って通るんですよ。これをいつまでも引きずるのはどうなのかなという気が私は致しております」
委員からは「陸上競技場は爆心地に近く、調べないのはおかしい」として、調査が必要との意見もあがりましたが、審議の結果、賛成1、反対7の賛成少数で不採択となりました。
請願は、来週13日(木)の本会議で採決されますが、不採択となる見通しです。