長崎県美術館の入館者が20日、700万人を突破し、記念のセレモニーが開かれました。
4月に開館20周年を迎えるのに合わせて展開する記念事業も発表されました。
「おめでとうございます」
700万人目の入館者となったのは、長崎市の木場良一さん(69)、雅美さん(64)夫妻です。
小坂智子館長から県美術館のオリジナルグッズや年間フリーパスが贈られました。
木場さん夫妻は、県内外の美術館巡りが趣味だそうです。
【妻・雅美さん(64)長崎市から】
「テレビでこういうシーンは見ているんですけど絶対自分はならないだろうと思っていたのでビックリしました」
【木場良一さん(69)長崎市から】
「700万人と聞いてそんなにたくさんの人が来ていると思ってまずビックリしました。
きょう来て良かったです」
長崎県美術館は2005年4月23日に開館、初年度の入館者数は61万人を超えました。
以降、興味をかきたてられる企画展や常設展、子どもも参加できるワークショップなどを
開催し、1年間の平均入館者はおよそ35万人で推移しました。
しかし2020年、コロナ禍で臨時休館や大型の展覧会などの中止が相次ぎ、その年の入館者は11万2000人まで激減しました。
コロナ禍が収束した2023年度はおよそ30万人までに回復しました。
【長崎県美術館 小坂智子館長】
「なかなかいらっしゃれない間も美術館に来ることを楽しみにして いただいた方って
いうのもいらっしゃって美術館が生活の中で不可欠だと思って下さっている方がやっぱり
いらっしゃるんだなということは私たちにとっても支えになったしこれからもそういう存在であり続けたい」
また県美術館は、今年4月23日に開館20周年を迎えるのに合わせ、記念事業を実施すると発表しました。
展覧会8件のほか、記念イベントなどを展開する予定です。
【長崎県美術館 小坂智子館長】
「長崎でしか出来ないことをきちんとやるということは、長崎の美術館にとって必要なことだという思いがある。長崎の文化は何かと考える時に、やはりひとつ『平和の文化』と
いうものがありますから」
主な記念事業として4月12日(土)から開館20周年記念「コレクションの在りか-現在地をみつめて」を開催。
およそ8900点の所蔵品の中から、代表するピカソ、ミロ、ダリなどの作品を常設展示室の全室を使って6月29日まで展示します。
7月19日(土)からの夏の期間は、被爆地の美術館として、「ゴヤからピカソ、そして長崎へ芸術家が見た戦争のすがた」を開催。
東洋一を誇るスペイン美術コレクションの中からスペイン最大の画家と言われるフランシスコ・デ・ゴヤの「戦争の惨禍」を展示します。
交流があるスペインのプラド美術館からもゴヤの「巨人」「死した七面鳥」を借り、そこに表された戦争の真の姿、戦争の本質を考えます。
さらにピカソの版画や国内の美術館が所蔵する戦争や原爆にまつわる作品を一堂に集め、
長崎から平和のメッセージを9月7日まで発信します。
【長崎県美術館 小坂智子館長】
「美術館という所は、造形作品を通して何かを考えていただく場、それは例えば原爆資料館にある 史実・事実の展示とは違うやり方で様々な考え方であったり出来事であったり
人がどのように感じたかということを伝えていく手段だと思うので長崎の皆さんは原爆の実相はよくご存じだと思うんですけども少し広い視野の中から感じ取る手段があるということは美術館でしか示せないことというふうに思っています」
このほか、記念イベントとして県美術館の建築デザインを手掛けた建築家・隈研吾さんの講演会の開催も予定されています。
また今年11月に開館20周年を迎える長崎歴史文化博物館とのコラボレーション企画として、両館の常設展の観覧セット券、通常700円を特別価格500円で販売するということです。