被爆体験者の一部を被爆者と認めた長崎地裁判決の控訴期限を来週に控え、大石知事と鈴木長崎市長がオンラインで岸田総理大臣と面会し控訴断念などを求めました。
面会は午後1時から15分間、オンラインで実施されました。面談は非公開でしたがその後、知事と市長が取材に応じました。
大石知事:
「知事、市長として控訴断念への思いを伝えたところでございます。(総理に要望したのは)我々として控訴を断念していただきたいということ、(被爆者と認定された)15人については速やかに認定していただきたい、15人と同じ地域にいた人は同様の救済をしていただきたい」
鈴木長崎市長:
「(総理からも)地元の思いをしっかりと受け止めたという言葉もいただけた。その言葉に従い政府の方でしっかりと検討していただけると期待している」
一方、原告の被爆体験者は被告側の鈴木長崎市長と大石知事に面会を拒否されたとして、抗議しました。
判決を受けて、鈴木長崎市長と大石知事は11日、上京して、厚労省の幹部と面会し、控訴の断念などを求める原告側の要望を伝えていました。県と市は裁判では被告側ですが、国に対して、救済を求めてきた立場でもあります。
原告側は「当事者不在」だとして、厚労省との面会内容について市長と知事からの説明を要望。しかし、原告の支援者によると、市からは、「原告と被告の立場」「知事も同じ考え」と説明され、面会を断られたとして、抗議しました。
被爆体験者・原告 山内武さん(81):
「原告と被告という立場だと言われるけれど、会って話をしてもいいじゃないかと。なぜ会わないのか裏でこそこそやっている感じばかりを受けています」
被爆体験者・原告団長 岩永千代子さん(88):
「はっきりと私は控訴しないと、勝った人に対して負けた人も含めて、私は自分の立ち位置において履行するんだと一言欲しい」
原告たちは直接、市長室前で秘書課の担当者に対して市長あての抗議文を手渡しました。その後、岸田総理とのオンライン会談を受けて、県庁で報道陣の取材に応じていた鈴木市長と大石知事との面会を直談判しました。
被爆体験者・原告団長 岩永千代子さん(88):
「この被爆行政に対して、被爆ということがどういうことかもう少し発信する起点となればいいなとそういう思いはありますね」
また県議会は18日、国に対し、被爆体験者の一刻も早い救済を求める意見書を全会一致で可決しました。
自民党・中村俊介議員:
「国におかれては、被爆体験者は高齢化し、一刻も早い救済が求められていることから強く求めます」
県や市、国は控訴せず、長崎地裁の判決を受け入れ、全ての被爆体験者の1日も早い救済が実現できるよう、調整の加速化を求めています。議長を除く45人の全議員が連名で提案し、全会一致で可決しました。
意見書は18日国に郵送しています。長崎市議会も同様の意見書を可決しています。