長崎に原爆が投下された際、国が定める地域の外にいた「被爆体験者」の一部を被爆者と認めた長崎地裁の判決を受け、大石知事と鈴木長崎市長が厚生労働省を訪れ、控訴を断念するよう訴えました。
大石知事:
「我々地元の思いとしては、控訴を断念するということが地元の強い思いであるということはお伝えさせていただいたところでございます」
長崎地裁は9日(月)、原告の被爆体験者44人のうち放射性物質を含む「黒い雨」が降ったと認定した東長崎の旧矢上村・旧古賀村・旧戸石村に住んでいた15人を被爆者と認め、被爆者健康手帳の交付を市と県に命じました。
原告らは10日、市と県に対し、認められた15人については控訴せず、被爆者健康手帳の交付を求めた上で、認められなかった人を含めた全ての体験者の早期救済を要望しました。
武見厚生労働大臣:
「現在、判決の内容を精査しているところでもあり、長崎県、長崎市、関係省庁と協議した上でこれに適切に対応していきたいと思います。また総理からの早急に課題を合理的に解決できるよう長崎県・長崎市を含め、具体的な対応策を調整するようにと、このご指示を受けておりますので、現在長崎県、長崎市と調整を進めているところでもございます。現時点では、まだいつまでに結論を得るかということについては明言することはできませんけれども、早急にという総理のご指示を踏まえておりますので、早めにとにかく結論が得られるよう取り組んでまいります」
大石知事と鈴木市長は、厚労省幹部と1時間以上にわたって面会し、控訴を断念した上で、認められなかった人を含めた全ての被爆体験者の救済を求めている原告らの思いを伝えました。
鈴木長崎市長:
「より早急に進めていかなくてはいけないという思い、これは国も県も市も、そういう思いで共通だと思っています」
大石知事:
「しっかりと受け止めていただいて、今後の協議に臨みたいというお言葉を頂いたところでございます。全ての方が救済されると、必要な支援を受けられるということを目指すことについては変わりはないと思います」
厚労省は合理的な課題解決に向け、早めに結論が得られるように取り組んでいきたいとしています。