漁師は不安を訴えます。去年、赤潮が発生し、養殖魚などに壊滅的な被害が出た橘湾で今年も6月に入り、広範囲で赤潮の発生が確認されました。
県によりますと、長崎市東部の戸石地区や雲仙市など橘湾の広い範囲で、6月に入り赤潮の発生が確認されています。橘湾では、去年7月下旬から8月上旬にかけても赤潮が発生し、高級魚のフグやシマアジなど約82万匹がへい死し、被害総額は約11億円にのぼりました。
27日午前、赤潮のモニタリング調査行う長崎市たちばな漁協の船に乗せてもらいました。沖に出ると、海水が茶色く濁っているのが確認できました。これが赤潮です。漁業者らは、赤潮の発生を抑える防除剤をまく作業をしていました。
県では、今回の赤潮プランクトンは、魚への毒性が非常に強い「シャトネラ」だと言います。海水1ミリリットル中、1細胞を超えると「注意レベル」、10細胞を超える「警戒レベル」になると、へい死などの被害が出るそうです。今週月曜24日には、2万1900の細胞が確認されました。
たちばな漁協の組合員で、養殖業を営む長野陽司さん(38)です。シマアジやフグなどを育てています。27日は朝から、被害を免れたシマアジの出荷に追われていました。少しでも被害を最小限に食い止めようと苦肉の策だといいます。去年の赤潮では、育てていたシマアジ約10万匹、トラフグ約3万匹が全滅しました。
長野陽司さん:
「またかと言う感じです。ちょうど出荷が始まった途端だったんで自分たちでもどうしていいか分からないし…言葉がないですよね」
長野さんは今のところ、去年のような被害にはなっていないと話しますが、刻々と変わる海の状況に不安を募らせます。
長野さん:
「悔しさというより、悔しさを通り越してどうすればいいかというのがある。今後色んなことを考えていかなきゃいけない」
たちばな漁協によると、へい死は今のところシマアジなどの青物が中心で、フグやタイに目立った被害は出ていないということです。