長崎労働局に勤めていた元労働基準監督官が間接的なパワハラで精神的苦痛を受けたなどとして国に330万円の慰謝料を求めた訴訟が長崎地裁で始まりました。
訴えを起こしたのは、去年3月まで長崎労働局に勤めていた元労働基準監督官の永瀬仁さん54歳です。訴状などによりますと2021年4月から翌年1月までの間、所属していた労働基準部健康安全課で、当時の課長が課長補佐に対し「辞表持って来い、辞表出せ」「仕事できないんだったら、徹夜してやれ」「歩いてる女性に抱きついてちょっと下半身でも露出して警察に捕まればそっちが早いかもな」「給料全部返せ、仕事無視するんだから、働いてないんだから」などのパワハラ発言を繰り返した上、超過勤務申請をさせずに、時間外労働をさせていたとしています。
永瀬さんは直接暴言を吐かれたことはありませんが、間近でパワハラの様子を見聞きし、精神的苦痛を受けたと主張しています。また、パワハラを内部通報したとして、不当に低い人事評価を受けたなどとして、国に330万円の慰謝料を求めています。
初弁論では永瀬さんが意見陳述し、「連日、パワハラ発言を聞かされて、心臓が高まり、平穏な気持ちではいられなかった」と述べました。
原告・元労働基準監督官・永瀬仁さん(54):
「私も間接パワハラながらも毎日毎日、連日あのような言葉を受けて、精神的にうつな状態になったかもしれないです。非常につらかった」
「内部通報は絶対に守らなければならない、働き手の最後の砦だと思ってますので」
裁判には、2020年10月にパワハラや時間外労働が原因で自宅で自ら命を絶った当時、佐世保署の警部補だった男性の妻も傍聴に訪れました。
自殺した元警察官の妻:
「間接的であっても自分もパワハラを受けている気持ちになることがあると思いますので、そういった意味では心身共に影響のあるハラスメントだと思う」
国は請求の棄却を求め、全面的に争う姿勢です。