自民党の派閥の裏金事件が発覚してから初めての国政選挙となった3つの衆議院補欠選挙は28日投開票され、立憲民主党がすべての議席を獲得、自民党は不戦敗も含めて全敗しました。長崎3区では立憲・比例九州の前職、山田勝彦氏(44)が日本維新の会の新人との野党一騎打ちを制し、2回目の当選を果たしました。
当選から一夜明け、大村市の事務所にやってきた立憲民主党の山田勝彦氏(44)。新聞に目を通し、当選をかみしめました。
立憲・前 山田勝彦氏:
「改めて身が引き締まる思いというかうれしさもそうなんですが、それ以上にこれからやらなければならないこと、そういった自覚と責任が強くなっている、そういう状況です」
自民党が候補者の擁立を見送り、野党一騎打ちとなった補欠選挙。開票の結果、立憲の山田勝彦氏(44)が5万3381票、維新の井上翔一朗氏(40)が2万4709票を獲得し、山田氏が得票数で倍以上の差をつけ選挙戦を制しました。山田氏は企業・団体献金の廃止や教育の無償化の実現などを訴え、選挙区内全ての市や町で井上氏の票を上回りました。
立憲・前 山田勝彦氏:
「裏金問題のけじめは選挙で勝利してつけるものではなく、国会に戻って真の政治改革を進めることで、けじめをつけられるものと思っております」
自民党派閥の裏金事件をめぐり、谷川弥一氏(82)が議員辞職したことで行われた補欠選挙。山田氏は、初めて挑んだ前回2021年の衆院選で、その谷川氏に破れ、比例九州ブロックで復活当選しました。「ようやくスタートラインに立てた」と話した選挙区での初当選。立憲民主党としても28日に同時に行われた島根1区、東京15区を含む3つの補欠選挙で自民党から議席を奪いました。
立憲・前 山田勝彦氏:
「長崎3区だけではなく島根と東京(の補欠選挙)でもこれだけの勢いで(立憲民主党が)勝利できた。来たるべき解散総選挙では、政権交代を訴えて皆さんと戦いたいと思っております」
次期衆院選では区割り変更に伴い、山田氏は新2区(大村市・諫早市・島原市など)で戦い、自民党現職との対決が予想されます。
立憲・前 山田勝彦氏:
「政権交代を懸けた戦いになると思っていますので、自民党のいまの腐敗している金権政治を継続するのか、私たちと一緒に新しい政治、新しい未来をつくっていくのかが、大きなテーマ、争点になってくると思います」
一方、井上氏は企業・団体献金を党内で独自に禁止した党の改革実行力を強調。保守票の受け皿として、自民党の考えに近い党のスタンスをアピールしましたが、及びませんでした。
維新・新 井上翔一朗氏:
「今回、日本維新の会としても長崎ではファーストステップ。最初のチャレンジだったと思う。これで政治改革の道は断たれたわけではありませんので、次の来たる大きな選挙に関しても、しっかりと頑張っていきたいと思っております」
井上氏は次期衆院選で、山田氏とは違う新3区(佐世保市・五島市西海市など)から出馬予定で、それを見据え、事務所は佐世保市内に構えていました。やはり自民党現職との対決が予想されます。
維新・新 井上翔一朗氏:
「今の政治を変えてほしいというお声をたくさん頂きましたので、そういう手応えは十分ありました。今回も託してくださった方がいますので、その方々の思いをしっかりと結実させるために頑張っていかなければいけないと考えております」
ゴールデンウィーク期間中に行われ、政策論争に発展しなかった今回の補欠選挙。確定投票率は35.45%で前回の衆院選を25.48ポイント下回り、過去最低となりました。
有権者(70代):「みんな関心が薄いようでね…投票率…」
有権者(80代):「あまり今の政権は信頼性ないもんね」
立憲・前 山田勝彦氏:
「自民党の今の金権政治に不満は、そして不信は強い一方で、まだまだ立憲民主党に、山田勝彦にというところの期待値が大きなところまで上げきれていなかった部分も、この結果は真摯に受け止めないといけない」
NCCが朝日新聞などと共同で実施した出口調査の結果から今回の選挙結果をひも解きます。
まずは普段の支持政党を聞いた質問です。自民党が25.52%、立憲民主党が23.63%で日本維新の会が10.37%で前回の選挙結果と照らし合わせても多くの自民支持層が今回、選挙に行かなかった、もしくは回答しなかったことが浮き彫りになっています。
また普段、自民党を支持している人が今回の選挙で誰に投票したのか聞いた結果です。54.69%が山田さん、45.31%が井上さんに投票したと答えました。3年前の前回の選挙で谷川さんに投票した人のうち、今回は山田さんに投票した人が45.93%、井上さんには54.07%が投票したと答え、井上さんに投票した人が若干上回りました。
そして投票で何を一番重視したかという質問です。もっとも多いのは「年金・医療・介護」で今回大きな争点と言われた「政治とカネ」の問題を重視した人は16.75%でした。「政治とカネ」を重視した人の約7割は山田さんに投票、3割が井上さんに投票していました。