自民党の裏金事件をめぐる谷川弥一氏(82)の議員辞職に伴う衆院長崎3区補欠選挙が16日告示されます。野党同士が一騎打ちの公算。告示前、最後の週末、立候補予定者らは選挙区内で懸命に支持を訴え、激しい前哨戦を繰り広げました。
立憲民主党比例九州・山田勝彦衆院議員(44):
「今度こそ長崎から佐世保から金権政治を終わらせる。今度こそ、この選挙区で皆さまの代表として国会で仕事をさせていただきたい」
13日、選挙区内の佐世保市広田地区で開かれた立憲民主党比例九州の現職、山田勝彦衆院議員(44)の街頭演説会。告示前最後の週末に、党本部から大物議員が駆け付けました。
立憲民主党衆院議員・野田佳彦元総理(66):
「山田勝彦さんのお手伝いにやってまいりました。千葉からやってまいりました。野田佳彦です」
2011年9月から翌年12月まで第95代内閣総理大臣を務めた立憲民主党の野田佳彦衆院議員(66)。自民党の裏金問題を受け、「政治への信頼が地に落ちている」として「政治の立て直しをしなければならない」と訴えました。
立憲民主党衆院議員・野田佳彦元総理:
「自民党は裏金問題に真剣に向き合って国民の期待している方向に改革しようとしていますか。何にもやっていないんじゃないでしょうか。二度と同じような金権政治を起こさない。そのためにも抜け穴のない政治資金規正法を我々は提案します。やらなかったら『(自民党に)信を問え』とそういう覚悟を持って臨みたいと思いますので、そのためにも長崎3区では山田さんに支持をいただいてお墨付きを得たい」
与党「自民党」が候補者の擁立を見送った今回の補欠選挙。山田勝彦氏は「金権政治からの脱却」を訴え、保守層の取り込みを目指します。
立憲民主党比例九州・山田勝彦衆院議員:
「この長崎3区の戦いは今までの裏金、金権政治を変える大きなチャンスです。皆さまの声で動く真っ当な政治へもう変えんば!」
一方、日本維新の会公認の新人で学習塾経営の井上翔一朗氏(40)も大村市で街頭演説を行いました。告示前から党所属の国会議員が続々と応援に駆け付けていて、14日は阿部弘樹衆院議員(62)が支援の拡大を呼び掛けました。
日本維新の会・阿部弘樹衆院議員:
「教育の無償化や保育料の無償化。維新の首長に変われば、あっという間にその地域の政治は変わっていった。井上さんに夢を託してください。この人は改革のダイナマイトだ!改革のダイナマイト!」
井上氏は、党は身を切る改革を進めてきたとして、実行力の違いを前面に打ち出します。
日本維新の会・井上翔一朗氏:
「いまこの長崎3区は政治とカネの中心地とまで揶揄されています。日本維新の会は企業・団体献金を受け取りませんので、しがらみのない有権者の方向けの納税者の方向けの政治を実践することができます」
対する立憲の山田氏とは同世代対決。若さを武器にできない中、しがらみのなさをアピールします。
日本維新の会・井上翔一朗氏:
「(山田氏の)お父様(正彦氏)が農水大臣だったことで自分では違うとは思っていたとしても、お父様の流れで言えないこともあるのかなと。私はそういう制約はありませんのでしがらみのなさを訴えていきたい」
井上氏も候補者の擁立を断念した自民党支持層の取り込みを狙います。
日本維新の会・井上翔一朗氏:
「日米同盟を重視して(外交・安全保障を)行っていくというところは自民党と大差ないが、立憲民主党は共産党(山田氏を自主支援)と組んでやっているので、そもそも自衛隊の存在はどうなのかと。そこは大きな違いになる。自民党支持層の方が安心して投票できる先にはなっていると思う」
自民党に近い党の考えを明確にすることで自民党を支持してきた保守層からの支持獲得を図ります。16日の告示を前に県庁では立候補の受け付けのリハーサルが行われ、県選挙管理委員会の担当者14人が流れを確認しました。
くじ引きで立候補の届け出順を決めたあと、立候補に必要な書類を点検し、街頭演説の際に使う旗や腕章など、いわゆる「選挙の七つ道具」を渡すまでの手順を確認しました。
県選挙管理委員会・楠本雅一書記長:
「特に若い世代の方々につきましては現状だけではなくて、将来への思いも託して貴重な一票をもれなく投票いただけるようにお願いしたい」
立候補の届け出は16日午前8時半から午後5時まで県庁で受け付けます。投票は28日に行われ、即日開票されます。