長崎市は、受給資格のない人に福祉医療費を給付する「過誤払い」の返還請求を、5年以上にわたって怠っていたと発表しました。未請求分は少なくとも334万円にのぼっていて、時効で請求できないものもあるということです。
長崎市は中学生までの児童、高校生までのひとり親家庭の子どもと親、60代の寡婦を対象に、医療機関の窓口で自己負担分のみを支払う「現物給付方式」で福祉医療費を支給しています。窓口で受給者証を提示することで自己負担額1日上限800円、月の上限1600円で医療が受けられます。(寡婦は1日上限1200円、同じ医療機関なら月上限なし)
こども政策課によりますと、去年12月、受給者から「受給者証を提示したが給付を受けられなかった」と市に問い合わせがあり、調査の結果、その市民が既に受給資格を失っていたことが判明しました。同様の事案がないか確認したところ、この5年間で約690人、約334万円の過誤払いが発覚しました。5年以上前のものは時効で請求できず、金額などは調査中だということです。
部署内で過誤払いに対するマニュアルがなかったこと、担当者が過誤払いがあることを把握していたにも関わらず請求事務を怠っていたことが原因としています。
長崎市こども政策課・中辻雅夫課長:
「既に時効が到来して回収ができないものがあることがひとつ。それから、請求はするが、受給者にとっては受診してから期間が空いてからの請求になるので負担をおかけするということで非常に重く受け止めて反省しているところ」
再発防止策として、内部では職員の意識徹底を図り、マニュアルを整備。受給者には、有効期限前に受給資格を失う場合は、もれなく市に届け出るよう周知徹底するとしています。