長崎初開催の国際賢人会議は9日、2日間の日程に幕を閉じました。岸田総理大臣も出席し、「長崎を最後の被爆地に」と訴えました。
岸田総理大臣(66):「『長崎を最後の被爆地に』という我々人類共通の決意を新たにする国際賢人会議の意義はまさにそこにあます。『核兵器のない世界』に向け、私自身が強いリーダーシップを発揮していく決意です」
「国際賢人会議」は核保有国と非保有国双方の有識者が核廃絶に向けた具体的な道筋を話し合うもので、広島、東京での開催に続き3回目です。核保有国アメリカやロシア、中国、フランス、インドの有識者が参加しました。また開催地・長崎の有識者として医師で被爆者の朝長万左男さん(80)も加わりました。
会議を提唱した岸田総理は、2日目(9日)の閉会セッションに参加し、「核軍縮をめぐる国際社会の分断が深まり、乗り越えるべき根本的な課題はいまだ山積している」と指摘。その上で核軍縮に向け、「こうした課題にひるむことなく議論し、現実的かつ実践的な取り組みを進め、国際社会の機運を高めていくことが、何よりも求められている」と訴えました。
委員らは初日に原爆資料館を見学したり、被爆者や高校生平和大使と面会したりして被爆の実相に触れました。また岸田総理も会議の直前、長崎原爆遺族会会長の本田魂さん(79)と短時間面会しました。
会議は、「軍縮を取り巻く安全保障戦略環境の悪化」「AIなど新興技術」「核の倫理と規範」をテーマに議論を深めました。
熊本県立大学理事長・白石隆座長(73):「重要なこととして長崎、被爆地で開催するということだけではなく、長崎を最後の被爆地であるようにすべきだと(委員全員の)合意は強いものがあると私は受け止めている」
エネルギー安全保障研究センター アントン・フロプコフロシアセンター長:「学者にとっても、様々な年齢の人々にとっても、核の問題を扱う学者は長崎そして広島を訪れるべきだと思います。核兵器を使った場合、こういう結末があり得るんだということを実感してほしいと思います」
長崎市民代表の被爆者・朝長万左男さん(80):「核の抑止力を低減して、核兵器の役割をさらに下げていくという努力を日本政府にお願いしたい。その中で核兵器禁止条約に参加しないというここに大きな被爆者としてのジレンマがある。これを克服してほしい」
「国際賢人会議」は今回メッセージなどは出さず、来年以降も議論を重ね、2026年のNPT再検討会議の前に提言を取りまとめ、政府に提出する方針です。