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【長崎】G7開幕日に…アメリカの狙いは?原子力空母ニミッツ佐世保寄港

2023年05月19日

19日、広島ではG7先進7カ国首脳会議が開幕。くしくも同じ日にアメリカが原子力空母ニミッツを佐世保に寄港させた狙いはどこにあるのか?

アメリカ海軍の動向を監視する市民団体、「リムピース」の編集委員、篠﨑正人さん(76)は…。

リムピース編集委員・篠﨑正人さん:「『空母がここにいる』と位置を示すことで、存在感が大きくあるという意味で入港することがある。東アジアの中ではロシア、北朝鮮、中国の問題。合わせて東南アジア諸国でいくつか混乱も起きている。それに対するプレゼンス(=存在感)ということも含めての展開ではないか。サミットのこのタイミングで入ってきたということは、もう一つは同盟国への安心感。空母という力で同盟国を守ると、あるいは外洋艦隊を持っている海洋戦力としてのアメリカが守ると象徴的な意味を持たせたのでは」

一方で、アメリカ海軍の内部で進む気になる動きがあると話します。

篠﨑さん:「1つは、空母を主力とした作戦展開を今後続けるかどうかを米軍が検討している含みがある。どこの国も進めているが、米海軍の中でも無人化、それに伴う省力化が進められている。最も人が必要な空母艦隊、空母機動打撃群というのが、果たして有用なのかという検討が一部で始まっている。”空母が象徴的”といつまで続くのかという気がします。米海軍の戦略全体の中で新たな役割が、米海軍佐世保基地に増えていくのではという不安を持っている」

海洋進出を強める中国やミサイル発射を繰り返す北朝鮮。そしてウクライナに侵攻するロシア。

ニミッツは入港前、地元メディアを艦上に招き、戦闘攻撃機の発着訓練などを公開しました。G7による同盟国との確固たる「連携」に加え、軍事力の「存在感」を広く世界に発信する狙いも透けて見えます。

寄港の目的について、ニミッツが所属する第11空母打撃群司令官のクリストファー・スウィーニー少将は。

クリストファー・スウィーニー少将:「日本はアメリカにとって本当に大切な、軍事的にも同盟国。佐世保には米海軍基地もあるので、そういう条件が全てそろって佐世保が一番の寄港先。乗組員にも一度は日本に立ち寄って経験してもらいたい。第2次世界大戦は二度とあってはならないような歴史がある。その戦争から70年以上経過し、その70年間でお互い日本もアメリカも、国として国民として成長している。私たちは友情を手に持ってはるばる寄港するので、長崎県の皆さんにも私たちを歓迎・理解していただいて、私たちも礼儀正しく長崎県、佐世保市などを楽しみ経験したい。そういう形で温かく受け入れていただければ一番だと思う。長崎・広島の入港反対の立場の方の思いも理解している。一人ひとりの国民の間でも意見が異なることがある。だが日本とアメリカの同盟国という立場は地域に対して大切なことなので、お互いが頑張って同盟国として進んでいきたい」

佐世保市放射能安全対策本部によりますと、原子力規制庁調査班長が発表したモニタリングボートや港の周辺7カ所のモニタリングポストによる入港前後の放射線測定の結果に異常はありませんでした。

ニミッツは19日から5日間佐世保港に停泊し、23日(火)の午前10時に出港の予定です。