長崎県は、全国でもトップクラスのあご(トビウオ)水揚げ量を誇ります。なかでも平戸市は県内の約60%を占める名産地です。秋になると、あごが平戸近海に集まり、地元漁港は活気にあふれます。新鮮なあごは、長崎の食文化に欠かせない存在で、焼きあごやあごだしなど、郷土料理に広く使われています。
今回は、平戸市岩の上町にある「林水産」の焼きあご加工場を訪問しました。林水産は創業120年以上、伝統の製法で焼きあごやいりこを作り続けている老舗です。
工場では、平戸沖で獲れた新鮮なあごを、職人が手作業で大きさを選びながら串に刺していきます。この道50年の林二男さんは、漁師としても長年活躍してきたベテラン。かつてはこの地区だけで100人ほどいた漁師も、今では十数人に減ってしまったそうですが、伝統の味を守り続けています。
焼きあごは、炭火で焼き上げるのが特徴。一度焼くことで生の状態よりうま味が凝縮され、香ばしい風味が加わります。焼くことで、余分な脂も落ちるため、澄んだ上品なだしを作ることができます。
焼いた後はさらに5~6日間かけて乾燥させます。身がしっかり締まったら完成。焼きあご作りは1月まで続き、出来上がった焼きあごは一年を通して購入できます。
焼きあごは、長崎・平戸の食卓に欠かせないだしの王様。お雑煮や味噌汁、煮物など、さまざまな料理に使われ、深い旨みと香ばしさが料理を一段と美味しくしてくれます。秋から冬にかけて旬を迎える平戸の焼きあごは、贈り物やお土産にも人気です。
林水産
住所:平戸市岩の上町1383
電話:0950-26-0030
営業時間:9:00~16:00
定休日:土曜・日曜・祝日