一足早い「春の便り」が島を歓喜に包み込んだ。部員25人全員が島出身の壱岐高校がセンバツ甲子園に県勢初の21世紀枠で選出。「壱岐から甲子園」壱岐島全体の悲願達成を密着取材。
【2年浦上脩吾主将】「緊張感もあるけどいつも通りやるかな」
吉報を待つ、前日の放課後練習。高鳴る胸の鼓動を抑えながら、あくまでも練習は「いつも通り」。
壱岐高校は選手21人全員が島出身。秋の県大会では、甲子園出場経験のある創成館、大崎を準々決勝、準決勝で撃破。創部48年目にして初の九州大会出場を果たした。九州大会で熊本第1代表に勝利し8強進出。
先月には選抜高校野球21世紀枠の九州地区推薦校に選出された。「壱岐から甲子園」の悲願が現実味を帯びてきても、決して浮足立つことなく、泥臭く努力を積み重ねてきた。
【坂本徹監督】「やることはやってきたので(前日も)変わらず練習をしていたので、あとはもう祈って吉報を待つだけかな」
【2年浦上脩吾主将】「きのうの夜まで全然緊張しなかったけど、きょう朝起きて『きょう決まるんか』みたいな緊張感がありますね」
いよいよ出場校の発表。大阪市で行われた発表の様子をLIVE配信を保護者や教員、後援会の人とともに見守った。壱岐島で暮らす、約2万4000人。そして壱岐を愛する全ての人の悲願達成へ。
「その結果選ばれた2校は 九州地区…」この瞬間、少しどよめく。そして、「壱岐高校」と呼ばれると部員たちは喜びを爆発させた。県勢初の21世紀枠での選抜選出、長崎離島勢で春・夏通じて初の甲子園出場の快挙。
【2年岩本篤弥選手】「小さい頃から仲良い人と一緒に野球ができるってだけでもうれしい。その人たちと甲子園に行けることが夢みたい」
【2年日髙陵真選手】「ずっと壱岐の人たちから『決まったらいいね』とか『甲子園応援行きたい』とかいろんな声かけてもらってたんで『決まりました』って言いに行きたいな」
【2年山口廉斗選手】(「(甲子園は)4万人もお客さんが入る球場なので、マウンドとか守備についた時に自分がどういうプレーができるか楽しみ」
【坂本徹監督】「(壱岐島は)本当に野球熱が高い中、今の子たちもジュニア(小学生)の時代・中学校時代、そして今と歩んできて彼ら自身ではなくて彼らを壱岐のみなさんで 育ててもらったと思っているので、その結果がここに表れている」
発表があった翌日、朝8時に部員たちはグラウンドに集まった。甲子園出場が決まっても、彼らにとって大きく変化はない。 【坂本徹監督】「きょうからは選抜に向けてやっていく。そこを切り替えをしっかりせんと。もう戦うモードに入っていかないといけないから。それがおまえたちの使命」 歓喜に包まれたあの日は特別。またいつも通り、泥くさく、ひたむきに…。次は夢舞台で校歌を。どんな困難も乗り越えてきたこの仲間となら、やれる…。春一番の壱岐旋風を聖地で…。 壱岐高校が出場する第97回選抜高校野球は、3月7日(金)に組み合わせ抽選会、18日(火)に開幕する。