秋の長崎くんちの稽古始め、「小屋入り」まであと3日です。諏訪神社や八坂神社、お旅所、中央公園の各踊場のさじき券の販売は6月7日(金)から順次始まります。
今年の踊町は興善町、八幡町、万才町、西濵町、麹屋町、銀屋町、五嶋町の7カ町です。踊町は本来7年に一度巡ってきますが、2020年から22年までの3年間はコロナ禍などで奉納が中止となったため、今年の7カ町は2014年以来10年ぶりの奉納となります。
一番町・興善町は能を元にした舞踊、「本踊石橋(ほんおどり・しゃっきょう)」を奉納します。注目は2体の獅子が全身を使って長い毛を豪快に振る「毛振り」です。紅白の獅子が長い毛を振り回しながら勇ましく舞います。
二番町・八幡町は「山伏道中(やまぶしどうちゅう)」、少年少女と女性が凛々しく、勇ましく舞う「剣舞」、勇壮な船回しが見所の曳き物「弓矢八幡祝い船(ゆみやはちまんいわいぶね)」の3つの演し物を奉納します。踊り場を縦横無尽に駆けながら回転する大技、ダイナミックな「八幡返し」の最後には、白い鳩を船から放つ演出が見所です。
去年、町ができて150年の節目を迎えた三番町・万才町は「本踊(ほんおどり)」を奉納します。今年の子ども踊りは10人のうち8人は男の子。男の子の参加は今年が初めてです。今までにない万才町の踊りに注目です。
四番町・西濵町は「龍船(じゃぶね)」。目まぐるしい船回しの勇壮さと龍が白い煙を吐く派手な演出で観客を驚かせます。今年は、曳き回しの途中、船の舞台から奏でるシッシー・チーさんの二胡の演奏が異国情緒を醸し出します。
大きい船を曳き回す豪快さが魅力の五番町・麹屋町の「川船(かわぶね)」。重さはなんと3トン余り。船回しの途中で、屋形から水が吹き上がる仕掛けは麹屋町だけの演出です。
黄金の鯱が空高く上がる六番町・銀屋町の「鯱太鼓(しゃちだいこ)」。太鼓の音で目覚めた鯱が荒波に翻弄されながらも、力強く、天に舞い上がり、龍になるさまを表現します。棒先を含めた46人の担ぎ手たちは約750キロの山飾(だし)を担ぐ週3回の稽古に励んでいます。
今回で4度目の奉納となる七番町・五嶋町の「龍踊(じゃおどり)」。龍衆が操る「青龍(せいりゅう)」と「白龍(はくりゅう)」が踊り場を所狭しと駆け抜けます。龍体を大きくくねらせながら激しく玉を追う「玉追い」、玉を見失った龍が必死な形相で玉を探す「ずぐら」。この緊張から解き放たれると荒ぶる龍が翻り、玉を追って天を駆けます。
各踊り場のさじき運営委員会などは29日、さじき券の販売日程や価格を発表しました。価格はそれぞれ去年と同じです。
諏訪神社のさじき券は、6月7日(金)の午前7時から、境内のさじき運営委員会の事務所で販売が始まります。一桝4人掛のS席が3万6000円、A席が3万円、B席が2万4000円、C席が1万8000円です。諏訪神社の無料の特等席「長坂」の整理券は、7月1日(月)から20日(土)まで、はがきによる申し込みです。7月28日(日)の午前10時に境内で公開抽選が行われます。立見席は当日のみ、1人1500円で販売されます。
八坂神社は今回初めて6月10日(月)のみ、午前9時から午後4時までネット予約を受け付けます。一桝4人掛のS席が3万円、A席が2万8000円とB席が2万6000円です。お旅所は7月16日(火)午後1時から電話受け付け後の販売となります。料金はS席2万4000円、A席2万2000円。B席2万円です。
中央公園は8月1日(木)の午前10時からネットやコンビニで販売します。料金はいずれも1人で砂かぶり椅子席が7000円、ベンチシート型指定席のS席が6500円、A席が4500円です。
7つの踊町は今週土曜6月1日の朝8時から順次、諏訪神社と八坂神社で清祓を受け、大役の無事を祈る「小屋入り」を行います。午後からは、ほかの踊町や年番町、関係先などにシャギリを伴い挨拶に回る「打込み」を行います。