諏訪神社の神域には、まっすぐに天へと伸びた何本ものクスノキの巨樹が――。
5月17日。長崎市の市街地の巨樹や古木を、長崎県樹木医会の樹木医が解説する街歩きツアーが開かれました。
スタート地点は、長崎の人々にとっておなじみの諏訪神社。本殿の北側を取り囲む森は神域のため、普段は立ち入ることができません。この日は特別に、お祓いを受けて森の中を見学しました。
森にはクスノキの巨木が10本以上そびえたち、一番大きな木は幹回りが約9m、高さ25mにおよびます。特徴的なのは幹の形です。ガイドを務めた県樹木医会の久保田健一さんが、「このクスノキは幹がまっすぐなんです。太陽が欲しい樹木は、日陰になった枝は落としながら大きくなっていきます」と説明しました。参加者はクスノキに触れたり抱き着いたりして、生命力を感じていました。
ツアーのきっかけは、2025年に県樹木医会が出版した書籍「長崎県の巨樹・名木」です。2020年から県内各地の300本近い樹木を現地調査し、情報を一冊にまとめました。講演会やパネル展を開く中で、「現地で解説を聞きたい」との声が多く寄せられました。
日本最古の唐寺、興福寺のソテツや、諏訪小学校の校庭に立つチュウゴクアカギなどを見て回り、ゴール地点の大徳寺公園へ。ここには県の天然記念物で、県内最大のクスノキがあります。アコウが着生し、幹の中に空洞が広がるなど、気がかりな点もありますが、久保田さんは「葉は青々ときれいに茂って樹勢を維持しています。まだまだ、そうそう簡単に弱る感じじゃないですね」と話しました。
長い間地域で大切にされ、街の歴史とともにあった巨樹や古木。足を止めて、新緑を味わいながら、木々の見つめてきた長い年月に、思いをはせてみてはいかがでしょうか。