佐々町発注の公共事業を巡る官製談合事件で逮捕・起訴された古庄剛前町長らの初公判が長崎地裁で開かれ、検察は懲役1年6カ月を求刑、裁判は即日結審しました。
起訴状などによりますと古庄剛被告(78)は、佐々町長を務めていた去年6月と7月の町発注工事の指名競争入札で、佐々町の元会社員山口情二被告(62)に最低制限価格に近い額を電話で伝え、特定の会社に落札させた官製談合防止法違反と入札妨害の罪に問われています。
山口被告や、工事を落札した佐々町の元会社役員・木田栄三被告(53)、佐世保市の会社員中島幹人被告(68)は入札妨害の罪に問われています。初公判に出廷した古庄被告と山口被告は、起訴された2つの事件について「間違いありません」と起訴内容を認めました。
検察は冒頭陳述で「佐々町では昔から談合が行われていて、山口被告は古庄被告に対し、2019年ごろから2021年ごろまで『最低制限価格』を繰り返し聞いていた」「古庄被告は、始めは断っていたものの、山口被告から『佐々町内の業者にまんべんなく回す』などと言われ、「町長選の際に応援してもらったため『最低制限価格』を教えるようになった」と主張。古庄被告は最低制限価格を決定したあと、山口被告に価格の上から5~6桁を電話で伝えていたとしています。
山口被告に関しては「最低制限価格を業者に教え、その見返りに、合わせて現金44万円を受け取っていた」と主張しました。
被告人質問で古庄被告は「自身は現金など見返りは一切受けていない」としたうえで、「取り返しのつかないことをした。反省している」と述べました。検察は論告で「競争入札制度の公正を害する悪質な犯行で常習的」などとして2人に懲役1年6カ月を求刑しました。
一方、弁護側は「2人に前科前歴はなく、反省している」などとして執行猶予付きの判決を求めました。判決は7月10日に言い渡されます。