長崎市でAI技術を活用したシマアジのスマート養殖事業がスタートしました。養殖業者が金融機関から融資を受けやすくし、担い手の確保を目指します。
神里公美子アナウンサー:
「たった今、空っぽのいけすにシマアジの稚魚が導入されました!」
東京に本社を置くIT企業「CAC(シーエーシー)」は、これまでに、魚の大きさと重さをAIで瞬時に計測する「魚体鑑定システム」の開発を進めてきました。
このシステムの実証実験の場として、今年1月に長崎市に「ながさきマリンファーム」を設立。昌陽水産に業務委託し、13日から、いけすでシマアジの養殖を開始しました。
今回いけすに導入されたのは、長崎市水産センターが飼育したふ化してから約140日のシマアジの稚魚1万3000匹です。稚魚が酸欠になって弱らないよう、酸素を供給できるトラックや専用の水路を使って素早く船まで運びます。その後、長崎市網場町と牧島の間の沖に設置した3基のいけすに稚魚が導入されました。シマアジの育成に合わせていけすを最大16基まで増やす予定です。
ながさきマリンファームは月に一度、「魚体鑑定システム」でシマアジの育成データを取り、「養殖日誌アプリ」に餌の量や餌にかかる費用、天候などを日々記録します。これら2つのシステムから得られたデータで、1カ月ごとのいけすの価値を算出するのに加え、数カ月後のいけすの価値を予測します。
いけすの魚を「動産」として、養殖業者が金融機関から融資を受けやすくする考えです。養殖業の経営安定に貢献し、将来的に養殖魚の担い手を増やすことが目的です。
ながさきマリンファーム・北牧利朗社長:
「ここ(長崎)で育っている魚、間違いなくおいしいわけですよ。こういうものをなくさないように良い魚が地域の方々がしっかりと未来へと届けていくということにつなげられるような少しでも我々が力になれたらなというふうに思います」
今後は、約1年から1年半かけてシマアジを飼育し、出荷する予定です。