対馬市の患者ら6人を乗せたメディカルヘリが壱岐市の沖に不時着水し、3人が死亡しました。
エス・ジー・シー佐賀航空担当者:
「この度は弊社メディカルヘリ不時着水により、3名の尊い命を失う結果となりましたこと深くおわび申し上げます。大変申し訳ございませんでした」
ヘリは6日午後1時半、対馬市の86歳の女性患者と付き添いの68歳の息子、福岡和白病院の34歳の男性医師と28歳の女性看護師、運航する「エス・ジー・シー佐賀航空」の66歳の男性機長と67歳の男性整備士の6人を乗せて、対馬空港から福岡市東区の福岡和白病院に向けて飛び立ちました。
しかし17分後の午後1時47分、機体の航跡を確認するモニター上で、航跡が動かなくなり、その後、消息不明となりました。
そして午後2時50分ごろ、第七管区海上保安本部に消息不明の通報があり、海上保安庁の巡視船や航空機が捜索。
午後5時すぎ、巡視船が壱岐市の北東約30キロの海上で転覆したヘリを発見しました。
機長(66)と整備士(67)、看護師(28)が緊急時に展開する浮き具(フロート)にしがみついた状態で救助され、意識はあるということです。
患者のモトイシ・ミツコさん(86)と息子のモトイシ・カズヨシさん(68)、医師のアラカワ・ケイさん(34)は心肺停止状態で福岡和白病院に搬送され、3人とも死亡が確認されました。
エス・ジー・シー佐賀航空運航管理・衛藤孝憲氏:
「(事故の)要因として考えられるのは機体的な問題と操縦士の問題と多々出てくるかと思いますけども現状に置きましては何とも言えません」
エス・ジー・シー佐賀航空は去年7月にも、運航するヘリが福岡県柳川市で墜落し、操縦士ら2人が死亡する事故を起こしています。病院は、去年5月から約半年間、一時的に運航を取りやめていましたが、院内で十分に検討を重ね、再開したとしています。
福岡和白病院・富永隆治院長:
「今回の事故は悲痛の極みであります。大事な患者さん、大事な病院のスタッフをヘリコプターに乗せて、危険というのはみんな重々承知してますから、安全であるという説明を受けて実際私も乗ってこれは大丈夫だという判断をしたのですが、今考えれば甘かったかなという気がしています」
長崎県医療政策課によりますと、昨年度、対馬から福岡和白病院へのヘリによる救急搬送は十数件ありました。
国の運輸安全委員会は「航空事故」と認定し午後3時半ごろ、航空事故調査官を福岡和白病院に派遣し、聞き取り調査を実施しました。
事故が起きた海域を管轄する唐津海上保安部は、業務上過失致死の疑いも視野に事故原因を調べています。