長崎の世界遺産に新たな魅力が加わります。
長崎市が制作した軍艦島の操業当時の様子を再現した360°VRが完成し、報道陣に公開されました。
午前7時前、長崎市南部の野々串港に報道陣や関係者が集まりました。
牧山貴光記者:
「これから軍艦島に上陸します。炭坑操業当時の様子を再現した360°VRのデモンストレーションが開かれます」
端島は、江戸時代後期に石炭が発見され、明治23年(1890年)から閉山までの間、海底炭鉱として国内唯一のエネルギー資源だった石炭約1570万トンを産出し、日本の近代化に大きく貢献しました。周囲約1.2キロの小さな島に、最盛期は約5300人が住み、人口密度は世界一とも言われました。高層アパートが立ち並ぶ外観が軍艦に似ていることから、「軍艦島」と呼ばれるようになりました。
先端技術を持つ炭鉱都市として栄えましたが、採炭可能な石炭は全て取り尽くされ、1974年、昭和49年に端島炭坑は閉山しました。
長崎市は今年、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」が登録10周年を迎えるのを記念して軍艦島の操業当時の様子を再現した360°VRとCGアニメーションを制作しました。
長崎市世界遺産室・武本かれん主事:
「世界資産としての価値が分かりやすく皆さんに伝わるようにというところを意識して制作しました。今、端島炭坑は現存しない建物も多く残っているんですけど、稼働当時の様子が分かるようにと当時の質感とかできるだけ残っている古写真だったりとか基にして制作しました」
このVRは、来島者が専用のアプリ「ストリートミュージアム」をダウンロードしたスマートフォンやタブレットを使い、現地で現在の様子と見比べながら視聴することが出来ます。
スマホに映っているのは、操業当時の端島小中学校です。画面奥は現在の端島小中学校です。VRでは、体育館や炭坑の施設も再現されています。
スマホに映っているのは、操業当時の幹部職員住宅の3号棟です。画面奥は現在の3号棟です。「第2竪坑」の跡などが見られる第2見学所では…今は見ることができない炭坑のシンボル「第2竪坑」の櫓がよみがえりました。
長崎市世界遺産室・武本かれん主事:
「完全に建物が無くなってしまっている所にその建物が現れたりとか、当時どういうふうに使われていたかというのが分かりやすい内容になっているので、そこを着目しながら見ていただければと思っています」
市はほかにも、軍艦島の隣に位置する高島で、日本で初めて蒸気機関による採掘法が導入された「北渓井坑」のCGアニメーションも制作しました。
長崎市世界遺産室・武本かれん主事:
「日本の産業革命を支えてきたという当時の実績があっていま、世界遺産に登録されているところですので興味を持って来てくださった皆様にこのVRで学んでいただけると大変ありがたい」
軍艦島と高島の操業当時の様子を再現した360°VRとCGアニメーションは、27日から一般公開されています。