初戦の対戦相手が近畿王者・東洋大姫路(兵庫)に決まった7日の放課後練習。
坂本徹監督:
「良かったね。申し分ない相手ですよね。色んな人が楽しみにしてるので、ぜひみんなでジャイアントキリングができるようにやっていきましょう」
壱岐っ子は臆することなくむしろ喜びを感じながら取り組んでいました。140km超えのまっすぐを常時投げてくる相手ピッチャー対策に、マシンの速度をいつもより上げて、ほとんどの時間をフリーバッティングに費やしました。
予定になかった守備練習です。これまで見てきた練習の中で一番活気があるように見えました。
坂本徹監督:
「きょう雰囲気悪かったら駄目でしょ。多分こうなるかなと思って、ノックをやってみようと思って。私も決まってワクワクしているし、どこかで緊張はもちろんあるんでしょうけど。自分たちの気持ちを出せるようになったな、こいつら成長したな」
島に春の便りが届いてから1カ月半。選手たちの快挙を称えるメッセージが至る所に。中には、感謝の言葉まで。
20年以上率いた元監督・新原昭夫さん:
「あっぱれですよ、あっぱれ。(甲子園は)野球する人はみんな望む場所だから。自分の教え子たちにもこの喜びを味わわせたかったね」
甲子園では吹奏楽部の演奏も大きな力となります。チャンスには長崎のスポーツを盛り上げる「V-road」を演奏します。壱岐高校の吹奏楽部は12人しかいません。壱岐商業と郷ノ浦中からの応援を受け、島一体となってアルプスからエールを送ります。
吹奏楽部員:
「ここ打ちたいなって気持ちにぐっと背中を押せるような演奏にしたい。きっと勝ってくれると思います。信じてます、僕は」
マネージャー4人は、練習の合間を縫ってお守りを作りました。勝利を願って、一つひとつ丁寧に。
マネージャー小嶋倖華さん(2年):
「みんなのおかげで甲子園いけてるからこんくらいはしないと…。みんなのためなら頑張れる」
試合日程が決まり、週1回ほど重ねてきた後援会の打ち合わせも大詰めです。壱岐らしい特色ある応援を企画していましたが、制約の壁がありました。
野球部後援会・川井智睦会長:
「一番悲しかったのは大漁旗を振れないことは大会概要を読んだときに一番ショックだった」
旅行代理店による甲子園応援ツアーも組まれています。説明会には多くの島民が参加しました。
粋なツアー代表取締役・若村映子さん:
「どのような方でも行きたいという方は、なるべくちゃんとご希望の沿うような形で安全に行っていただきたいな」
出発前日。山口選手と小西選手が向かったのが…野球を始めた原点の小学生チーム。後輩たちからエールが送られます。
山口廉斗選手(2年):
「今の小学生に勇気と希望を与えられるような。もう一回この世代が甲子園に行きたいと思うようなプレーをしたい」
手作りのお守りが全員に手渡されました。出発式には、保護者をはじめ多くの島民が集まりました。そしてOBによるエール!ユニークで力強い応援に勇気をもらいました。
大漁旗は壱岐にとっても縁起ものー。この日が振り納めです。「勝利だけでなく甲子園で、たくさんのことを収穫してほしい」島民の思いを胸に、壱岐っ子の大航海が始まります。