被爆地域の外で原爆に遭った「被爆体験者」らが被爆者と認めるよう県と長崎市に求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が福岡高裁で開かれ、原告側は「一審判決は不可解で不合理だ」と訴えました。
被爆体験者訴訟・原告団長・岩永千代子さん(89):
「雨と灰が別だなんてそんな判決はあるはずない。今回の判事はきっとそういうことを踏まえて誠実な判決を下せると思います」
被爆体験者訴訟を巡っては、去年9月、長崎地裁が爆心地から東側の一部地域で「黒い雨」が降ったとして原告44人のうち15人を被爆者と認める判決を言い渡しました。
一方で、原告側が訴えていた放射性物質を含んだ「灰」を体内に取り込んだことによる内部被ばくは認めませんでした。
当時の岸田総理は「合理的な解決」を表明しすべての被爆体験者に対して被爆者と同等の医療費助成が去年12月から始まりましたが、やはり被爆者とは認められませんでした。
原告側は「放射性物質を含んだ灰やちりが降ったことは否定しようのない事実」雨のみを認めて線引きした地裁判決は「明らかに不合理だ」などと訴えています。
18日の第1回口頭弁論で原告団長の岩永千代子さん(89)が意見陳述し、「爆心地より遠いところが被爆地、近いところが被爆体験者の地区とされているのは不可解」「真実を求め続けるのみ」と訴えました。
被爆体験者訴訟・原告団長・岩永千代子さん(89):
「決して怯まず、緩まず、頑張ります。それのみです」
被爆体験者訴訟・原告・山内武さん(81):
「早い解決を私たちは望んでおりますけどあと3回くらいで判決が出ると思います。それまで頑張ります」
次回は4月21日で、早ければ6月にも結審する見込みです。