対馬市の観音寺から韓国の窃盗団が盗み、12年間、韓国から返還されていない仏像を巡り、所有権を訴えた韓国の浮石寺が、日本への返還に反対しない考えを示したことが分かりました。ただし返還前、浮石寺で100日間の法要を行うことを求めています。
長崎県指定有形文化財で対馬市豊玉町の観音寺が所有する「観世音菩薩坐像」は、2012年10月、韓国の窃盗団に盗まれ、韓国に持ち込まれました。
翌年「14世紀に倭寇に略奪された」として所有権を主張する瑞山市の浮石寺が韓国政府に引き渡しを求める訴訟を起こし、去年10月、韓国最高裁が観音寺の所有権を認める判決を出し、確定しました。
日本政府は早期返還を求めています。
浮石寺によりますと、韓国最高裁の判断を受け、今年6月ごろ、観音寺に対し、返還に反対しない考えを伝えたということです。
一方、返還前に像の安寧を願う100日間の「法要」を浮石寺で行うことを条件としていて、日本側が認めれば、来月末ごろから実施する予定だとしています。
観音寺の田中節孝前住職(78)は…。
観音寺・田中節孝前住職(78):
「それ(100日法要)には『返します』という確固たる約束がないとそれに応じられない、ということと、『絶対返します』というね。それは今まで12年間、争ってきて、それで簡単にそういうことが解決出来るとは、そう簡単にこちらとして思われませんので、それ相応の契約というか約束事をしていただいて。こちらの意にかなうならば、そういうことは可能だと思いますけどね。
返すという確約が取れ、しかもそれが対馬まで搬送されてくるのかというその過程が約束されないと、口頭でとか簡単なことではないと思いますけどそう簡単にこちらは信用するわけにはいきませんので、もし浮石寺がそういう意図があるならば書面を、こちらの意にかなう書面を作り、しかもその返還行程を明確にして、それを保証する何物かがないと。もう向こうの意のままにはならないと思いますけど」