去年6月、松浦市のコンビニエンスストアで起きた強盗殺人未遂事件の裁判員裁判は2日目、証人尋問に出廷した医師は被告が「重度のギャンブル障害だった」と述べました。
起訴状などによりますと元建設作業員で、住所不定の川端健太郎被告30歳は、去年6月22日の未明、松浦市御厨町北平免のコンビニエンスストアで、店の外にいた当時48歳の男性店員をバールで殴り、気絶させました。そのあと来店した当時63歳の男性客に対しても、バールや拳で複数回殴ってけがをさせ、店のバックヤードにあった現金約5万円が入ったマネーケースと、約1万1000円などが入った男性客の財布を奪って逃げた強盗殺人未遂と窃盗の罪に問われています。
29日の第2回公判では、県精神医療センターの大塚俊弘院長が弁護側の証人尋問で出廷し、「川端被告はギャンブルに出合ってから早い段階でのめり込んでおり、重症度の高い『ギャンブル障害』である。自らの意思や精神力では行動を制御できない状態である」と述べました。
それに対し川端被告(30)は「大塚先生の言う通りです。ギャンブルをやめたくても、周りから止められてもやめることが出来なかった」と涙ながらに話しました。川端被告は事件前日の6月21日、給料28万円を受け取り、4万円のみを借金の返済に当て、残り24万円のほとんどをその日のうちにパチンコと競艇につぎ込んで使い果たし、「コンビニ強盗をするしかないと思った」と犯行に至った心境を述べました。
一方、検察側は「コンビニで襲撃された店員は、視力に障害が残るほどの後遺症を負っている」「ギャンブル障害だからという理由で、何をしても良いわけではない」「被告は逮捕されてから1年ほど経つが、被害者への謝罪文を書いていない」など、被告の被害者に対する感情を疑問視しています。
裁判は30日、論告求刑公判が開かれ、6月4日(火)に判決が言い渡される予定です。