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2024/1/31(水) 19:44

能登半島地震被災地レポ 吉永キャスターが現地取材で見た光景と今後の課題は

  • #社会

あすで能登半島地震から1カ月です。NCCでは吉永キャスターが、現地に行って被災地の取材に当たりました。
テレビ朝日系列の取材団の一員として、8日間、現地の様子を取材してきました。被災地では長崎の支援スタッフも活躍していました。

吉永龍司キャスター(1月20日):
「こちらは珠洲市で海がすぐ近くに見える所です。ここが海岸通りなんですが、ご覧の通り津波の影響で、大きな被害を受けてしまっています。通り沿いに建っている電柱も全て斜めに傾いてしまっています」

能登半島の最北端、珠洲市。地震や津波で4500棟以上の建物に被害が出て、石川県内で輪島市と並んで最多となる108人の方が亡くなりました。(1月30日時点)石川県全体では、30日時点で、死者数238人。今も、2800戸が停電、4万戸以上が断水となっています。
震災直後から、全国から様々な支援スタッフが駆け付け、インフラ復旧工事や、被災者のサポートに当たっています。

吉永キャスター(1月21日):
「地震で大きな被害を受けた能登町です。こちらは町の中心部にある体育館です。ここが給水拠点となっています。ここで働いている方々は、九州から来たスタッフで、長崎から来た上下水道局の職員も活躍しています」

ほぼ全域で断水が続く石川県能登町で給水作業をしていたのは、長崎市上下水道局の職員4人と、大村市上下水道局の職員2人、宮崎市の職員4人、合わせて10人。

住民:
「遠い所からね、ありがたいね」
「皆さん本当に優しいし、涙が出ます」
「お風呂入れたらいいな」

長崎市は、1月9日から、上下水道局の職員4人ずつを1週間交代で能登町に派遣しています。取材したこの日は、第3陣の支援メンバー4人が、大村市からの有志メンバーと共に活動していました。
宮崎市の3トン給水車と、長崎市の2トン給水車で、能登町内の浄水場からくんだ水を給水します。
1週間ほど滞在する職員たちは、能登町から100キロ以上離れた、比較的被害が少なかった金沢市に宿を取り、毎朝5時に宿を出て、午前8時30分から午後5時まで、長時間にわたる給水活動に励んでいました。睡眠時間はおよそ4時間。それでも断水が続く町の住民にとって、この給水は、まさに命の水。取材中も、ほとんど列が途切れることはありませんでした。

長崎市上下水道局給水課・藤井和憲班長:
「なるだけ優しい声掛けをして近くの人がいらっしゃったら持って行ってあげている。住民からも感謝されたりもするので遣り甲斐はある」
大村市上下水道局水道工務課・戸田知成さん:
「水がインフラで一番重要だと思っているので、1秒でも早く断水が解消されるように願っている」

長崎人の頑張りが、被災された方々の大きな力となっていることを痛感した取材でした。

能登町のお隣、輪島市の山間部では、3週間ぶりに水道から水が出る瞬間に立ち会えました。

下和雄さん(88):
「お、出ました出ました。あ~うれしい」
「あ~本当に……泣けるほどや。本当にうれしいことや。皆さん寒い時に直してもろて、本当に助かります」
下孝子さん(81):
「あぁ、うれしい!ありがとう。助かりました」「良かった、本当に良かった」

何度も感謝を繰り返し、安堵の涙が流れます。

下和雄さん:
(Q.この水で何をしたい?)
「飲んだり、食べるもんでも作りてえべ」
孝子さん:
「風呂に入ったりね、トイレが使えたり…うれしいです」

洗面所では、お湯も。

孝子さん:
「出ます出ます、ああ良かった。ありがとう」
和雄さん:
「ありがとうございました」
孝子さん:
「本当にありがとう。じいちゃんありがとうね、じいちゃんには苦労ばっかりかけた」
和雄さん:
「そんなこと言ってもどうもならん」

吉永キャスター:
「どこか行きたい所や、したいことはありますか?」
孝子さん:
「別に何も…爺ちゃんとおったらそれでいい」
和雄さん:
「これで元気でおられりゃあ」
孝子さん:
「2人で元気でおられたら、1番いいことです」
和雄さん:
「本当はあっち(天国)に行かれれば楽なんやけど」
孝子さん:
「そんなわけにはいかん、爺ちゃんに置いて行ってもらったら、こっちは困るから」
「爺ちゃん、良かったね」「うん、良かったな」

被災地の支援に入っている東京都水道局による作業で、輪島市内の3軒の住宅に、水が流れるようになりました。

東京水道局給水部・川上凌平さん(30):
「自分もグッとくるものがあって、水道の工事に携わって、お客様が喜んでいる姿を直接見て、やりがいを感じている」

しかし、輪島市内で水が流れたのは、本当にわずかな住宅だけです。

吉永キャスター(1月23日):
「石川県輪島市の河井小学校前交差点です。こちらは7階建てのビルが、倒壊してしまった現場です。きょう未明から雪が降り続いています」

輪島市中心部は、震災から3週間が経っても、倒壊した家屋のほとんどが、手つかずの状態で残り、ほぼ全域で断水が続いています。
雪の影響で工事がストップするなど、復旧にも大きな影響が出ました。停電の影響で、多くの信号機が、止まっています。液状化でマンホールは、1m近く隆起したものも。

吉永キャスター:
「石川県輪島市の大規模火災が発生した輪島朝市の現場です。一面黒く焼け焦げてしまっているこの地域にも、きょうは朝から雪が降り続いています」

輪島市中心部の観光名所だった輪島朝市は、200棟以上の建物が焼けました。警察の一斉捜索が行われましたが、いまだに6人の安否が分かっていません。
地震から1カ月が経とうとする今も、依然として活発な地震活動が続いていて、気象庁は、最大震度5強以上か、それ以上の地震に注意するよう呼び掛けています。積雪による新たな家屋の倒壊、斜面地の土砂災害など、予断を許さない中、日常を取り戻すための石川県の復興への道は、まさにこれからが本番です。

吉永キャスター:
今回、長崎の水道局の活動を取材しましたが、他にも多くの支援スタッフが長崎から石川入りしています。
私が現地にいた時は、薬剤師の方々が珠洲市で活動したり、テックフォースの皆さんが金沢市で活動していました。また、私は石川から長崎に戻って、5日が経ちましたが、この5日間でも復興に向けて、様々な動きが出ています。能登空港が再開されたり、一般ボランティアの活動が本格化したりしています。
被災者の方の取材を通して、印象に残っている言葉は、「私たちの現状を、しっかり伝えてほしい」という言葉でした。その方は、忘れられてしまうのが怖いと話していました。地震からまだ1カ月ですが、被災地が元の姿に戻るにはかなりの時間を要すると思います。
私たちは、今回の地震を「忘れず」に、被災者のために何が出来るのか、考えて行動することが大切だと感じました。

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