自民党の派閥の政治資金パーティー券の売り上げから多額のキックバック(還流)を受け、政治資金収支報告書に記載しなかった疑惑が持たれている長崎3区の谷川弥一衆院議員(82)が、キックバックされた現金をパーティー券の購入者に返還したいとの希望を示していることが分かりました。谷川事務所は購入者への代金の返還が公選法に触れる恐れがないか慎重に検討しています。
谷川衆院議員はおととし(2022年)までの5年間に4000万円以上のキックバックを受け、収支報告書に記載していなかった疑いがもたれ、東京地検特捜部の任意の事情聴取を受けています。NCCの取材に対し谷川議員は不記載を認めていて、「本当に申し訳ない。近く特捜部の最後の聴取がある。そこで立件されれば議員も辞職する」と話しています。
特捜部は、今週中にも谷川議員の聴取を終結するとみられ、谷川議員は自身に対する処分が判明した後、地元で会見を開く意向です。また、キックバックされた現金については「5年以内のものは明細も含めすべて保管している。パーティー券を購入した人に意向を聞き、返還を希望する人には返したい」と話しています。
一方で、谷川事務所の担当者は「パーティー券の代金の返還は公選法で禁止されている寄付に当たる恐れもあるため、可能かどうか調査中」としています。
谷川議員は、県議会議長などを経て2003年、衆議院議員に初当選、現在7期目で第二次安倍内閣では文部科学副大臣も務めました。衆議院小選挙区の区割りの変更で次の総選挙からは比例九州ブロックから出馬する予定でした。谷川議員が3月15日までに議員辞職した場合、公職選挙法の規定により4月28日に補欠選挙が旧区割りの長崎3区で実施されます。