総監督・池上淳一さん(54):「何とかここまでこぎつけた」
実に10年ぶりの奉納に向け、8月4日(金)、初めて鯨を出して稽古に臨んだ万屋町。
万屋町・藤野為信会長:「待ちに待った第1回目の練習入ります。長い夏の間厳しい練習が続くと思います。頑張っていきましょう」
万屋通り町会館を出て浜町のアーケードをくぐり、稽古場所の中央公園に向かいます。
「鯨の潮吹き」は、江戸時代の古式捕鯨のストーリーを再現します。1778年(安政7年)から奉納されていて、約250年の歴史があります。鯨を豪快に引き回しながら、大海原の中を悠々と泳ぐセミクジラを表現するのが根曳たちです。
根曳頭・大橋一功さん(42):「格好も法被に変わって、鯨も触ってより一層くんちに近づいてきた楽しみ半分、緊張半分」
6月1日の小屋入り以降、本格的なトレーニングが始まりました。14人いる根曳のうち9人が初めての参加です。諏訪神社や水辺の森公園まで走り、体力を付けてきました。鯨の重さは約2トン。できるだけ鯨を曳く時と同じ負荷を体にかけられるように自分たちを追い込みます。
根曳頭・大橋一功さん:「クジラを回すというのが、場所から逃げるまで全部全力運動で、体力が底をついても皆さんのモッテコイをいただいたら、気力だけで体力をつくれるようなトレーニングができていると思います」
こうして迎えた初めての場所踏み。総監督・池上淳一さん:「今年の鯨は大幅に右に曲がります。自分の付いている位置によってしゃがんで止めたり、綱で止めたり、鯨に体を寄せて止めたり、そういう所作が初めてということもあるし、こんがらがってきてるかな。10年ぶりなので四苦八苦する」
前回、10年前に出場経験のある根曳も今回とは違うポジションだったため、ほとんど一から動きを覚えます。
OB・石崎健治郎さん(73):「舵を取るのもさ、前の人が肩だけで取る」
過去6回、根曳などで出場した経験があるOBも駆けつけ指導しました。
初参加の根曳・田川亮介さん(32):「単純な動きなんですけどめちゃくちゃきつい。足並みが難しい。みんな詰まっているんで転びそうになる」
この稽古の週、根曳4人が新型コロナに感染していまい事前の準備ができいませんでした。
総監督・池上淳一さん:「本来であればみんなで集まって、ビデオでも見なければならなかったが、体調不良者が出てできなかった」
稽古中、足を痛めてしまった根曳もいました。
根曳を2度経験・野口雄介さん(43)「(足を挟んだ?)そうです。ここです。場所が皆変わるので、初めての場所だったので、痛いです・・・。いったん冷やして様子みておこうと」
根曳を2度経験・浅野光明さん(45):「息が合ってないぶん、それぞれに負荷がかかる感じがする。これからどんどん本格的に(鯨の)回しの練習に入ったりすれば、皆の気持ちもガッと上がってくると思うので、これから楽しみ」
総監督・池上淳一さん:「ちゃんとその場所に合った所作を覚えてもらう。クリアしないといけないところ」
一方で、トレーニングの成果でしょうか。
総監督・池上淳一さん:「きょうの鯨?なんか元気よかね。元気だけはいいみたいですよ」
くんちまで2カ月を切りました。豪快なセミクジラを表現できるか、夏の厳しい稽古にかかっています。