13年前の2012年10月8日、対馬市の観音寺から韓国の窃盗団に盗まれた仏像が、24日、韓国で返還手続きを終えました。万感の思いで手続きに臨んだ観音寺の田中節孝前住職が帰国。「雨降って地固まる」と話した訳とは?
観音寺・田中節孝前住職(78):
「(仏像が)こんなに立派な顔をされていたからこそ、浮石寺は死んでも返さないという言い方をしたのではないかとそういう感じがしました。こんなに立派な顔をされていたのかと」
2012年10月8日、対馬市観音寺が所有する県有形文化財「観世音菩薩坐像」が韓国の窃盗団に盗まれ、韓国に持ち込まれました。韓国の浮石寺は、「14世紀に倭寇によって略奪されたもの」として所有権を主張していましたが、2023年10月、韓国・最高裁が「所有権は日本側にある」との判決を下しました。
24日、浮石寺は返還の式典を開き、出席した観音寺の田中節孝前住職(78)に12年3カ月ぶりに仏像を返還しました。26日に帰国し、対馬市で会見を開いた田中前住職は安堵の表情。
観音寺・田中節孝前住職(78):
「これを解決しないと死ねんなと思ってました。まだか、まだかと思っている時は長いじゃないですか。だから終わったから、あっという間の13年だったと今、口で言えると思います。喜び、ほっとした気持ち、希望が3分の1ずつですね。33パーセントずつで、1パーセントが不安はないですけど、あてにならないなと」
返還は、日本と韓国の仏教関係者の間で友好的に行われたということです。
観音寺・田中節孝前住職(78):
「誠に円満に皆さん握手をして、これを機に、『雨降って地固まる』の例えの通り、ご縁のある対馬の寺院とも仲良くしていこうということで決着いたしました。せっかく対馬に朝鮮・高麗由来の色んな時代の仏様がたくさんあるわけですから、盗られないセキュリティーとともにここにお参りにも来てほしい。インバウンドの増加にもなるじゃないですか」
「観世音菩薩坐像」は現在、浮石寺に貸与していて、100日間の法要を終えた5月11日(日)ごろ、対馬に戻ってくる予定です。その後の保管方法については、対馬博物館での展示などを検討するとしています。