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2024/03/19

「被爆地の惨状」描かれず賛否…アメリカ・アカデミー賞で7冠 映画「オッペンハイマー」特別試写会

0319オッペンハイマーマスコミ試写会

今年のアメリカ・アカデミー賞で7冠に輝いたクリストファー・ノーラン監督(53)の映画『オッペンハイマー』の特別試写会が18日被爆地長崎で開かれました。「原爆の父」とされる物理学者の生涯を描いたこの作品から被爆者や若者たちは何を感じたのでしょうか。

公開前の一般向け試写会は被爆地の長崎と広島だけです。被爆者や平和活動に取り組む高校生ら127人が参加しました。

理論物理学者のロバート・オッペンハイマー(1904-1967)は、第二次世界大戦中のアメリカ・ロスアラモス国立研究所の初代所長として原子爆弾開発計画「マンハッタン計画」の指導者的役割を果たしました。映画は、オッペンハイマーが研究者として原爆開発にのめり込む姿や開発者として苦悩する姿が描かれています。一方で、広島と長崎に投下され、合わせて21万人以上が死亡した原爆の惨状を描いた場面はほとんどありません。

上映後のトークイベントで「長崎県被爆者手帳友の会」の朝長万左男会長(80)とアメリカ政治が専門の上智大学の前嶋和弘教授がそれぞれの立場で意見を述べました。

長崎県被爆者手帳友の会・朝長万左男会長:
「原爆被爆者の映像が取り入れられていないことはこの映画の弱点かと思いましたが、オッペンハイマーのセリフの中に何十カ所も被爆の実相にショックを受けたことが込められていた。あれで僕は十分だと思う。その上に被爆者の悲惨極まる映像を重ねていくことはこの場合は蛇足だと思う」

また、朝長さんは日本の若者がこの映画を見ることで日本政府が依存するアメリカの「核の傘」について考える出発点になるのではないかと指摘しました。

上智大学・前嶋和弘教授:
「被爆者の方が見たら色んな思いがあるかも知れないけど、(自分がアメリカに住んでいた)29年前だったらこの映画は出来なかった。それからどうアメリカが変わったのか。9.11があったイラク戦争アフガン戦争があっていまだに戦争が続いている。この中で核というものをもう一回見つめないといけないというのが根本にあって、こういう映画になっていると思う。これはアメリカの変化の映画だと思います」

平和活動に取り組み、被爆者と接することもある高校生たちは何を感じたのでしょうか?

第24代高校生平和大使・塚根みづなさん:
「新しい視点で原爆を見つめる、戦争を見つめるということが出来る作品だったと思います、と同時に、この映画を見た時に被爆者の被害の面が想像できるかと考えた時に難しいと思う」

活水高校平和学習部・木場笑里さん(2年):
「長崎や広島のワードが出てきたことは確かに自分自身もうれしいことだったり、それをアメリカの方々が世界中の方々が知ってくれたことはうれしい気持ちで一杯なんですけども、まだまだ被害の面で一生残る傷っていうのをまだ伝えきれていないと感じたとことが率直な感想です」

映画『オッペンハイマー』は3月29日から全国で公開されます。

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