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2026/6/18(木) 18:31

判決は?妊婦はねられ死亡「赤ちゃんも被害者」

  • #社会

 おなかの赤ちゃんは被害者と認められないのか。妊娠がはねられて死亡した事故で、異例ともいえる実刑判決です。

■「人として認めて」胎児に障害

被害者の家族 研谷友太さん 「勘違いをしていただきたくないのは、あくまで相手の量刑を重くするために求めていたのではなく、娘を一人の人間として認めてほしいという思いでやっていた。結果として98%が執行猶予が付くといわれる交通事故のなかで、その2%の実刑を受けられたということについては今回、娘の分は立件されてはいないが、量刑の酌量のところにしっかり裁判官も考慮してくれた。ある意味これは大きなことだと思う」

 おなかの子が誕生するのを待ち望んでいた母親は、その子の顔を一度も見られないまま突然、自らの命を奪われ…。

 生まれた子には重い障害を残した交通事故の判決を受け、家族が会見です。

被害者の家族 研谷友太さん 「刑が重いからといって健康な娘が戻ってくるわけでもなく、妻が生き返ることもない。妻と娘には…頑張ったよって報告できるかなと」

 異例ともいえる実刑判決はどのように下されたのでしょうか。

 妊娠9カ月だった研谷沙也香さん(当時31)は去年5月、愛知県一宮市の路上で車にはねられて死亡しました。

 沙也香さんが搬送された病院で帝王切開によって誕生したのが娘の日七未ちゃん(1)です。

 日七未ちゃんは先月21日、事故からちょうど1年の誕生日に1歳になりました。

 ただ、生まれた時には心拍も呼吸もなく、脳には重い障害が残っています。

 当時車を運転していたのはスーパーの帰りだった児野尚子被告(50)です。

 児野被告は母親の沙也香さんに対する過失運転致死の罪で逮捕・起訴されましたが、日七未ちゃんに対する「過失運転致傷」の罪には問われていません。

 刑法上、胎児は「人」ではなく、母親の身体の一部とみなされるためです。

被害者の家族 研谷友太さん 「起訴状を見た時に本当に一切、名前が入っていない。重度の障害を負って生まれた娘・日七未が被害者として扱われない現状は到底受け入れられるものではない」

 ここで、これまでの裁判で明かされた事故の詳細を整理します。

検察側 「被告はスーパーマーケットを出た後、安全運転を意識しながら走行していることが明らか。その運転中、車内に掛かっていた音楽に合わせて歌を歌うなどしていた。そして、本件事故現場付近に差し掛かった」

 車は事故現場付近に差し掛かると突如、右斜めに向かって走行し始めたそうです。それから約9秒後、右側の路側帯を歩いていた沙也香さんに後ろから衝突しました。

 被告は衝突してから約3秒で「アーッ」などと声を出し、自らブレーキを踏んで停車しました。

 一方、被告は事故の原因について…。

児野尚子被告 「睡眠時間が短い生活を送っていて、睡眠不足が続いたり睡眠の質に問題があると自覚がないまま数秒から数十秒間、意識が途切れてしまい、睡眠状態に入ってしまうマイクロスリープというものがあると聞いた」

 突然の居眠りなど意識を失ったことが原因だと話していました。一方の検察側は被告の主張について…。

検察側 「被告は30年以上の運転経験があるが、これまで一度もその運転中、眠ったり意識を失ったことはない。唯一、本件事故時のみそのような状況になったと述べている。自己に都合の良い後付けの主張である」

 今も意識不明のままである日七未ちゃんについては…。

検察側 「本件事故が原因で、意識を持つことなく、自発呼吸もできず、今後意思を持って動くこと、意思表示をすること、開眼も難しいという誠に苦しい状態で生まれたもので、今後24時間常に看護が必要な状態となってしまった。待望の妊娠であり、今後生まれてくるであろう子どもと家族3人で長く楽しく幸せな人生を歩むはずだったのに、被告の一方的かつ重大な不注意で、一瞬にしてその幸せな生活を奪われた」

 検察側が禁錮3年を求刑した一方、弁護側は寛大な処分を求めました。 

 そして、この事故の最大の争点は…。

被害者の家族 研谷友太さん 「頑張っている娘がいるということを伝えたいという思いがありまして、被害者として扱ってもらうためにはどういったことができるのか。妻のために娘のために何か残せることって思った時に、それが署名ならできるかなと」

 事故当時はおなかの中にいた子も1人の被害者ではないのか。家族は日七未ちゃんに対する「過失運転致傷」の罪の適用を検察に求めていました。

 これを受けて検察は補充捜査を行いましたが、結局、適用は見送られたという経緯があります。

 ただ、当初は起訴状に記載されていなかった「日七未ちゃんの名前」「母胎内で受けた影響」などが盛り込まれました。

 “日七未ちゃんへの被害”が量刑判断にどれほど影響するのか注目されるなか、18日に裁判所は…。

裁判長 「被告は胎児、出生後の氏名・研谷日七未に循環不全等の傷害を負わせた」

 名古屋地裁一宮支部は判決でも日七未ちゃんへの具体的な被害について触れ、禁錮2年6カ月の実刑判決を言い渡しました。

 亀井弁護士によりますと、1人を死なせた過失運転致死の場合、通常量刑は拘禁刑1年6カ月から2年だといいますが、今回はそれよりも重い禁錮2年6カ月でした。

 日七未ちゃんへの被害が考慮されたと考えられるそうです。

被害者の家族 研谷友太さん 「まだまだ戦いは続いていくので、家族全員、今後も一丸となって戦っていきたい」

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