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2026/3/10(火) 21:09

「恩返しをしたい」震災を乗り越えピッチへ 新たな挑戦に踏み出したサッカー監督

  • #社会

 東日本大震災から15年。宮城県石巻出身の女性が今年、女子サッカーチームの監督に就任しました。震災を乗り越え、新たな挑戦に踏み出した歩みを追いました。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督(40) 「ボール2つでいこう!」

 女子サッカーチーム「琉球デイゴス」の監督・渡辺さん。チーム創設まもないころから10年以上、選手としてプレーしてきました。

 そして今年、初めてトップチームの監督に就任。15年前の東日本大震災で、宮城県石巻市にあった自宅は大きな被害を受けました。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「元々、住んでいたところはちょっと311で被災してしまって、町内丸ごと飲み込まれてしまった地域なので…」

 家も流されてしまったといいます。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「ちょうど京都にサッカー選手として岡山での大会だったので、震災に気付いてあげられなくて」

 当時、胸に浮かんだのは「サッカーを続けていいのだろうか」という迷いでした。

 被災した故郷を前に、自分にできることは何か。悩み続けたといいます。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「実家がもうなくなってしまった地域っていうのも全部見て回って、こんな状況だしサッカー続けられないな、何かできることないかなって思って」

 そんな渡辺監督の背中を押したのが家族でした。「サッカーを続けろ」。その言葉に、続けてもいいんだという安心感に包まれたといいます。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「兄とお父さんですね。ピンチの時に助けてくれるというか、もういいから俺がやるからとか。お前はサッカーしてていいよっていう状況を作ってくれる。やってていいんだっていう安心が大きかったかな」

 やがて、渡辺監督は支えてくれた家族や故郷の友人らに「サッカーをしている姿を見せたい」と感じるようになったといいます。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「その時はもう必死で、自分も若かったので。サッカーしてる姿を親に見せてあげたいというか。去年、父が亡くなったので」

 去年、最愛の父・広さんを亡くしました。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「(Q.ずっと支えて下さったんですかね…?)いつも一番理解してくれて、応援してくれてたのが父なので。サッカーしてるよ、見守っててねーって」

 監督になった渡辺さん。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「デイゴスに来てよかったって言ってもらえるようなチームを作るのがやっぱり自分の責任だし務めかなと思うので」

 一方で、サッカーだけでは生活は成り立ちません。昼間は別の仕事に…。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「ヤマト運輸の渡辺と申します、お世話になっています。午前中指定で代引きが1つ届いてまして、今からお伺いしても大丈夫ですか?」

 配達業はトレーニングにもつながるといいます。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「配達先は階段のところも多いですし、そもそも距離が長いので、歩数でいうと一日働く日であれば3万から4万歩は歩いてます。結構、体力は付くと思います。雇用先として雇っていただけますし、チームとして支えても下さっているので、引退した後もそのまま正社員で雇っていただけるというところがすごくありがたい」

 さらに社会保険などの制度もあり、選手の生活をサポートする環境が整えられています。

 実際に、けがで手術を受けた選手を支援したことも。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「手術が必要で、実家に帰るっていう風になった時も、ずっとヤマトさんはサポートしていただいてて、社会保険とか全部やっていただいてたんで本当にすごい良い会社だなと思って」

 練習は仕事を終えた後の午後7時から。頭上をアメリカの軍用機が飛ぶなかでのトレーニング。沖縄県ならではの環境です。

 練習が始まりました。

琉球デイゴス 岡村奈生子選手 「薬剤師です。元々、栃木の薬局で働いてました」

 なかにはアメリカ軍の関係者の妻も選手として参加しています。また、地元採用の自衛官やタコライス店で働く選手も。

琉球デイゴス 町田茉衣選手 「タコライス屋さんです。作ったり運んだりって感じです」

 渡辺監督の良さも教えてくれました。

琉球デイゴス 町田茉衣選手 「監督になってからはすごい喋りやすいですし、サッカーも分かりやすいし、本当に見えてる世界が違いすぎて、すごいなって思います」

 今回、チームに強力な助っ人が加わりました。元日本代表で、鹿島アントラーズなどで優勝経験がある秋田豊さん(55)です。

琉球デイゴススーパーバイザー 秋田豊さん 「点を取れるチャンスを作り出していくというところをブラッシュアップしていけば、もっともっとチームとしても上に行ける」

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「自分たちの場合は全体的に攻撃の中央突破とかゴール前の守備とかっていう大まかなテーマの中でやってたけど、ここを取りに行く練習とかすっごい細かくて。やっぱJリーグとか代表になるとそういう風なところまで突き詰めるのか」

 現在のチーム状況について、秋田さんは…。

琉球デイゴススーパーバイザー 秋田豊さん 「去年からの課題というのを少しずつクリアにしていけてるっていうのは、まあ見ていても分かるんで。そうすればもう勝率っていうのは格段に上がってくると思うので、そこはまあうまくいってるかなって」

 一方で、自身の経験からこの時期の懸念もあるといいます。

琉球デイゴススーパーバイザー 秋田豊さん 「プレシーズンの時っていうのは良くても、やっぱりシーズンに入らないと分からない部分があるので。本当にそこで本番で戦えるのか、同じ力を出せるのかっていうところ。まだまだこれからだと思います。やっぱり人数が少ないっていうのは難しいところだと思いますね」

 渡辺監督も沖縄県でプレーするハードルの高さが選手集めの壁になっていると感じています。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「去年のメンバーが何人か抜けてしまって、だいぶ人数が少なくなった」 「(Q.今何人いらっしゃる?)全体で12人です。苦しい状況には変わりないですけど、今それでも集まってくれてる選手たちを大事にしたい」

 それでも震災を乗り越えて支えてくれた人たちのためにピッチに立ちます。

琉球デイゴス 渡辺樹里監督 「サッカーを通じて喜んでくれる人がいるというのは、やっぱりやっててよかったってところにもなるし、逆に今はもう指導者になってサッカーに恩返しをしたいというか、今まで育ててくれたものに対して自分が何かこう返せるものがないかな。チームに感謝、恩返しです」

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