選挙の情報源として、「SNS」を活用する人は増えました。ただ、専門家はそこから得られる情報との向き合い方には特に注意をするよう呼び掛けています。
SNSの特性に詳しい 国際大学 山口真一准教授 「(Q.SNSやネットの特性は?)ネットの特性として非常に情報が偏りやすい。まず『フィルターバブル』という現象があります」
「フィルターバブル」とは、SNSや検索エンジンがユーザーの過去の行動履歴を分析し、その人が見たい情報を優先的に表示する仕組みのことです。
山口准教授 「SNSのタイムラインの上の方には、私たちが見たいであろうものがたくさん出てくるようになっているわけですね。偏った一部のコンテンツに触れ続けるということが起こります。『エコーチェンバー』も似たような現象で、人は自分の考えに近い人が好きです。フォローやコミュニティー参加の過程で、自分と近い人ばかりとつながってしまう。ネット上には色々な人がいるし、色々な意見があるのは事実です。私たちが見ているのは、切り取られた自分好みの一部の世界」 「(Q.ネットの特性が有権者に与える影響は?)『視野が狭くなる』『意見が極端化する』ということがあります。色んな人の投稿を見ているつもりでも、実は自分好みのものばかりであることで、反対の意見に出会うことがすごく少なくなってしまう。でも反対の意見を知ることは、政策や投票先を考えるうえで、極めて重要なこと。その機会を失ってしまうということが言える」 「自分と同意見の人ばかりと議論したり、そういう情報収集ばかりすることによって意見が極端化してしまう」
山口准教授は、自分の好む意見が目につきやすかったり、思い込みやすかったりする人ほど、フェイク情報を信じてしまい拡散する傾向にあると話します。
山口准教授 「意見が極端化すると何が起こるか。『自分の信じたい情報を信じる傾向』がある。応援している政党に有利なフェイク情報、その他の政党に不利なフェイク情報に飛びついて、すぐ信じて拡散しがちになるのが人間なんですね。『自分は批判的思考・態度が取れていて大丈夫なんだ』という自信たっぷりな人ほど、フェイク情報にだまされやすい傾向がある」 「(Q.選挙時には、なぜ『フェイク』が出回る?)フェイク情報や偽の画像・動画が作られる理由は主に3つあります。1つ目が政治的動機なんですね。誰かを勝たせたい、あるいは負かしたい。あるいは世論操作するとかですね。2つ目が経済的な動機です。目立って閲覧数をいっぱい稼いで、お金を、広告収入を得る。日本全国が注目する国政選挙なわけですよね。そういった時は皆が情報やコンテンツを見てくれる、その中に目立つ情報、フェイクでもいいから、とにかく出してやろう。3つ目の動機がいたずらとか、あるいは『いいね稼ぎ』とか、そういう承認欲求的な話ですね。これが生成AIの発達によって、気軽に見せる動画とか偽画像を作れるようになって加速しています。去年の参院選の時期は、AIで画像は作れたが、動画はそこまで簡単に作れず、クオリティーも今より低かった。この間に技術がものすごく向上して、簡単には(フェイクか)見分けがつかない」 「(Q.選挙時のSNSとの付き合い方は?)キラリと光る素晴らしい情報もあれば、ものすごいフェイク情報もある。嘘もいくらでも作れるし、AIに限らず過去の映像の切り抜き画像を持ってくるとか、色んなことで色んなフェイクを作れてしまう。だからこそ一呼吸を置く、一度立ち止まって情報源を見るとか、そういったことをするのが大事かなと思います。SNS上では、対立構図とか怒りの感情とか、目立つところばかりが拡散される傾向。『短くて強い言葉』っていうのも拡散されやすいんですよね。人はつい、そういうのにひかれがちです。しかし、それにひかれて投票しても、いい政策が返ってくるとは限らない。自分たちに返ってくる政策は何なのか。この人に投票することで何が起こるのか。こういったところに冷静に目を向けることが大切なんですが、SNSと冷静は少し相性が悪いところがある。政策のことを考えるために、ボートマッチング(政策マッチング)の活用や、あるいは各政党とか候補者のウェブサイトを見に行って、『この人は何を重視しているのか』というところを見に行くとか、そういったことで工夫してほしいなと思います」