リニューアル予定の長崎原爆資料館の展示をめぐり、現在の年表にある「南京大虐殺」という表記を「南京事件」に変更する案を示した長崎市に対し、市民団体が見直しを求めました。
井上琢治館長に申し入れ書を手渡したのは、「世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会」です。
長崎市は先月、リニューアルに伴う展示の更新をめぐり、年表の表記を「南京占領、大虐殺事件おこる」から「多数の民間人や捕虜を殺害する南京事件を引き起こした」に変更するなどの素案を示しました。
これに対し市民団体は、旧日本軍による戦争加害の歴史を矮小化していると指摘。ほかの展示物でも、中国への「侵略」が「進出」に削除・修正されたなどとして、「南京大虐殺」や「侵略」の表記を維持するよう求めています。
世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会関口達夫さん:
「日本の侵略で被害を受けた国々の人々は『侵略』を『進出』といった表現に変えた場合に日本は負の歴史を隠そうとしていると」
世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会崎山昇さん:
「日本の人たちと世界の人たちが共通の認識を持てるような展示にしなければ、核兵器を廃絶しようという長崎の思いは世界に伝わらないと思う」
長崎市平和推進課原賀哲郎主幹:
「(表現の変更について)基本的には教科書や参考文献などを参考に記載しているところ」「今後、運営審議会や市議会にもご報告しますのでご意見を頂戴しながら最終案に向けて検討を進めていきたい」
最終案は今年度中にまとめられ、原爆資料館は来年度中にリニューアルされる予定です。