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2025/6/14(土) 22:30

「え、いいの?」農家も驚いた提示額 日本一早い新米めぐり”争奪戦”

  • #経済

備蓄米が徐々に流通するなか、気になるのは今年の新米の価格です。日本一早い収穫が始まった産地を取材すると、その新米価格に影響するかもしれない、“コメ争奪戦”ともいえる実態が見えてきました。(6月14日OA「サタデーステーション」)

■猛暑に害虫…農家は新米収穫量に不安

東京ドームおよそ10個分の田んぼを持つ、埼玉のコメ農家の新井さんが見せてくれたのは…

あらい農産 新井健一さん 「カメムシの被害を受けた玄米ですね。暑さとカメムシで(去年の収穫量は)2割とか3割減ったんじゃないか。今年もカメムシがとんでもない数になるんじゃないのかなって」

埼玉県の調査では、去年のおよそ43倍の密度でカメムシが越冬したことが確認され、警戒を呼びかける事態になっています。新井さんによると、去年、周辺の農家では、猛暑やイネカメムシの影響で、コメの収穫量が10分の1に落ち込んだところもあるといいます。

そんな中、高値で青田買いが始まっています。

あらい農産 新井健一さん 「(60キロあたり)去年が1万7000円くらいだったが、今年は2万2000円か2万3000円」

JAなどがコメを集荷する際に、農家に支払う概算金が、去年より5000円から6000円ほど高い金額で今年の新米に提示されたというのです。JAはなぜ、そこまでの高値を提示したのでしょうか。

あらい農産 新井健一さん 「農協(JA)で、昨年集荷ができなかったからだと思いますよね。(提示した)値段が安すぎちゃって。業者の値段が異常に高くなったので。農協にコメが集まらなかった」

■青田買い過熱 “驚きの金額”提示も

新米の争奪戦は、沖縄でも。沖縄県石垣市では、日本一早い「早場米」の収穫が始まっています。

石垣市の米農家 上地永俊さん 「(Q今年の出来具合は?)最高にできてますね。できすぎ。実りすぎてる。豊作」

別のコメ農家は…

石垣市の米農家 仲本大希さん 「一番最初のお米です。日本一早い新米ですね」

たわわに実った稲穂を手に、笑みを浮かべるのは石垣のコメ農家の仲本さん。この日本一早い新米をめぐり、争奪戦が始まっています。

石垣市の米農家 仲本大希さん 「本当に昨日です。 ちょっと田んぼ見せてくれないかって。田んぼ一緒に回って。正直、提示された数字は『え、いいの?』 って」

これまで、主にJAとの取引を続けてきた仲本さん。3~4月ごろから、「驚くような金額」を提示してくる、県外の業者からの問い合わせが相次いでいるといいます。

石垣市の米農家 仲本大希さん 「農協(JA)さん自体も、すごい去年よりもびっくりするくらい金額上げてきたんで。(それでも)農協に卸すよりかは、直接交渉しに来る業者の方が、やっぱり金額がのるんだなっていうのは実感したし、驚いたっていうか。ただ自分も子供がいるんで、お米がすごい金かかる。大変だとわかるんです。だからべらぼうに高く売りたいわけではない。高く売ろうと思えば、売れるんですけど」

■コメ“スポット取引価格”急落続く

その一方、コメの価格に影響を与える重要な指標が、下落を続けています。

金沢米穀販売 金澤富夫社長 「1万2000円くらいは下がっていますので。2回ドーンドーンと下がったので。果たしてどこまで、と」

群馬県のコメ卸売業者の金澤さん。先月末から、スポット取引価格の急落に注目しています。スポット取引とは、JAを通さない卸売業者の間で行われる取引のことで、その価格は今後の指標として注目されています。

金沢米穀販売 金澤富夫社長 「本当に下がり方の速さにはびっくりしました」

令和6年産の茨城産や千葉産のコシヒカリ、1俵60キロあたりの取引価格が、先月末の4万8500円から下がり続け、きのう3万6000円をつけたといいます。1万2500円も急落しました。

金沢米穀販売 金澤富夫社長 「まだこれから2000円、3000円は下げて買いたいというデータもあります。(今後も)多分下がる方向に行くと思います。備蓄米が出たために、銘柄米が売れなくなってることは確かなんで。それが売れなくなったことによって価格が下がってきた」

■備蓄米「届かない」小売店も

そしてついに、沖縄県石垣市でも備蓄米の販売が始まりました。沖縄県での店頭販売が始まったことで、全国47都道府県に備蓄米が流通したことになりました。

さらに10日、小泉大臣は備蓄米の追加放出を表明。

小泉農水大臣(10日 閣議後会見) 「新たに令和3年産10万トン、令和2年産10万トンの計20万トンを売り渡すことといたします。店頭で売り切れなども出てきてる中で、追加投入したい」

次々と投入される備蓄米ですが、売り切れ以前の問題のところも、まだ多いようです。

都内のスーパー「マルヤス」では、先月30日に備蓄米20トンを申し込みましたが、まだ届いていないといいます。

スーパーマルヤス 松井隆代表 「備蓄米がもう少し早めに入手できるんじゃないかなというふうに勝手に考えておりまして、発注を控えていたところがありまして、かなり在庫が減ってしまっている」

そんな中、きのう農水省の関係先から連絡がありました。

スーパーマルヤス 松井隆代表 「契約書の案を送っていただきました。18日までに返してくださいと。お渡ししていただける最短が、7月(上旬)ということでして。意外と遅いなと思いました」

■今後の価格は…9月には3300円台も?

高島彩キャスター 「随意契約による備蓄米が2000円前後で店頭に並び始めましたが、米全体の価格は今後どうなっていくのでしょうか?」

板倉朋希アナウンサー 「現在、全国のスーパーで売られている米の平均価格は5kg当たり4200円台とまだ高い状態が続いています。コメの価格の今後について、コメの生産に詳しい宇都宮大学の松平尚也助教と米の流通に詳しい日本国際学園大学の荒幡克己教授に伺いました。2人とも7月には備蓄米の放出でコメの流通量が安定し始めるということで、価格は4000円ぐらいまで下がり始めて、8月中には3000円台後半になるだろうと予想されています」

高島彩キャスター 「新米の収穫が始まる9月ごろになったらどうですか?もうちょっと下がってくるということでしょうか?」

板倉朋希アナウンサー 「ここから2人少し意見が分かれるところでして、まず松平さんは今年の新米について、去年よりも収穫量が40万トンほど多い見込みなんですが、今年も猛暑が予想されているので、そうすると高い気温を好むイネカメムシが一部の地域で大量発生する可能性があって、これによって収穫量が変化することが考えられるので、3000円台後半で推移するのではないかと」 「一方の荒幡さんは8月下旬に農水省が発表する新米の生育状況で、これがもし豊作ということになれば、3300円から3500円ぐらいまで下がるのではないかということをおっしゃっていました」

高島彩キャスター 「豊作になるといいんですけどね。輸入米の影響っていうのはどうですか」

板倉朋希アナウンサー 「その“ミニマムアクセス米”ですけれども、9月下旬から入ってくるということですけれども、荒幡さんはこの輸入米について大きな影響はないとおっしゃっていますが、一方の松平さんは、米の量がさらに増えるということになるので、市場が不安定になって価格がどうなるのかなかなか予測できないとおっしゃっていました」

高島彩キャスター 「コメの価格が安定するのは、まだちょっと先になりそうですかね」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏 「コメの価格はこの夏の天候に大きく左右されますよね。猛暑で収穫量が減ってしまえば、当然値段は上がってしまうということになりますから、備蓄米、それから輸入米の動向だけではなくて、天候にも我々は気を配る必要がありますね」

高島彩キャスター 「水害の心配などもありますからね。どうか天候に味方してもらって、そして新米が適正な価格で店頭に並ぶようにしてほしいなと思います」

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