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2025/6/1(日) 22:34

【高騰抑制で政府が市場介入】備蓄米放出で“交差する米価と政局”参院選の地熱上昇

  • #経済

政府備蓄米の市場放出を巡り、2021年産の「古古古米」8万トン、2022年産の「古古米」22万トン、合計30万トンの取り扱いに関する動向に注目が集まっている。2022年産の引き渡しの対象は、年間1万トン以上の米取扱い実績を有する大手小売業者。契約先には、「アイリスオーヤマ」、「ライフ」、「イオングループ」、「楽天グループ」、「サンドラッグ」などの大手企業が名を連ねた。販売価格は5キログラムあたり2000円程度(税抜き)に設定された。2021年度産は、販売価格は5キログラムあたり1800円程度(税抜き)で、年間1000トン以上、1万トン未満の精米能力がある小売店などに限定された。今回の措置で農水省は、価格調整を迅速に進める観点から、入札を経ずに特定業者と直接契約を結ぶ随意契約方式を採用した。

こうした中、5月21日に農林水産大臣に就任した小泉進次郎氏が、迅速な対応に向けて奔走している。就任からわずか5日後の26日、小泉氏は省内に「米対策チーム」を発足させ、29日には中野国交大臣に物流支援を要請した。翌30日には古古古米の随意契約に対する受付が開始され、前例のないスピード感で政策が動き出した。小泉氏は、23日に都内のスーパー、精米店を視察し、24日には、北海道で農家をはじめとしたコメ関係者との懇談会に出席。29日には古古古米の試食、30日には神奈川県内の備蓄倉庫を訪れるなど、精力的な姿勢はメディアにも連日取り上げられた。小泉氏は29日「いま、随意契約で作っているルートは、今までのが、一般道だとすると、これは高速道路を作った。この高速道路でどんどん流していきたい」と見通しを語った。

一方で、この急激なスピード農政に対し、野党側は懸念を表明した。立憲民主党の野田佳彦代表は5月28日の衆院農水委で、「バナナのたたき売りではない。気合はわかる。生産者にとっての適正価格をバランスよく考えていかなければならない」と釘を刺した。日本維新の会の前原誠司共同代表は、「一部が転売に回り、高値をつけて歪んだ形で市場に回る」と危険性を指摘した。国民民主党の玉木雄一郎代表は、「1年経てば、動物の餌になるようなものを、安く売りますというのは、それは(市場に)安く出ます」と批判を強めた。こうした中、与党・自民内でも備蓄米放出に向けた動きが加速していた。石破総理は5月7日、小野寺五典政調会長に対し、備蓄米放出後も価格が下がらぬ問題への対策を、党として早急に取りまとめるよう指示。8日には森山幹事長と会食した。14日に小野寺氏は備蓄米倉庫を視察し、「政府が1万2000円前後で買い上げた備蓄米が、今回2万2000円超で落札されている。国が利益を得てどうするのか」と苦言を呈した。

小泉氏は21日の農水大臣就任時、石破総理から、米価高止まりの課題に関する指示書を受けたことを明かし、最前線に立つ覚悟を示した。コメ価格の高騰が続く中、政府・与党内では市場安定に向けた言及が相次いだ。石破氏は5月21日の党首討論で、「コメ5キロあたりの価格は3000円台でなければならない。4000円台などということはあってはならない」と強調し、現状価格に対する強い懸念を示した。小泉氏は28日の衆院農水委員会において、「高すぎているマーケットに対して、2000円で提供する政府備蓄米を投入することで、確実に安定した方向に価格は下がっていく」と述べ、市場への積極的な介入姿勢を明らかにした。

こうした政府方針に対し、現場を預かる販売・流通関係者からはどのような見通しを抱いているのか。番組は5月30日に、米価の今後について独自に取材を行った。福岡県北九州市の小売業者は、「絶対量が少ないため、4000円を下回ることはないだろう」と述べ、実態としては依然と供給不足が続いていることを指摘。店頭では品切れを防ぐため、通常の5キロ袋から4キロに変更して販売するなど、工夫を強いられているという。仙台市の卸売会社も、「在庫量が元々、少ない中で、学校給食などへの優先供給が続いている。スーパー側もすぐ売れるという前提で、あえて高値に設定している」と実情を明かした。岩手県に本社を置く卸売会社は、「我々の価格は契約で決まっており、値下げはしない。仮に価格が下がるとすれば、小売り主導か、消費者主導になる」と語った。

一方、元農水官僚で農業経済に精通する明治大学農学部の作山巧教授は、消費者心理の変化に注目する。「通常は価格が上がれば、購買を控えるが、コメの場合、価格が上がっても売上は伸びている。これは買い貯めが起きているのではないか。コメは何百キロも必要な商品ではなく、いずれ買い控えが始まる」と述べた。作山氏はまた、「備蓄米の放出量は全体から見ればわずかだが、買い急ぎの心理が鎮静化する」との見解を示し、二重の要因から価格が3000円台に戻る可能性を指摘した。

★ゲスト:鈴木哲夫(ジャーナリスト)、久江雅彦(共同通信特別編集委員) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)

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