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2025/5/18(日) 22:42

【ロシア・ウクライナ直接協議】3年ぶり再開“即時停戦なく交渉継続”和平の模索は

  • #国際

トランプ米大統領は5月16日、貿易政策に関し、「米国と合意したがっている。150カ国すべてと個別に会談することは不可能だ」と述べ、今後2~3週間以内に、各国に対し新たな関税率を通知する方針を明らかにした。トランプ氏は、「米国でビジネスを行うためには、支払う費用について各国に伝えることになる」と発言。新たな関税率の通知については、ベッセント米財務長官らが、書簡形式で各国に送付される見通しとなっている。これにより、交渉を経ることなく、事実上の通達によって関税変更が伝達される形式となる。既に、4月9日には、米国政府が各国との相互関税に関する上乗せ措置について、90日間の停止を発表しており、その期限は7月9日に迫っている。本来であれば、この期間内に個別交渉を進め、各国と合意に至ることが想定されていたが、現時点で、実際に合意に達しているのは英国のみとなっている。

こうした中で、ロシアとウクライナの代表団による直接協議がイスタンブールで行われたのを受け、トランプ大統領は5月17日、ロシアのプーチン大統領と19日午前10時(現地時間)に、電話会談を行う予定であることを明らかにした。トランプ氏は、この会談の目的について、「週平均5000人以上の兵士が命を落としている流血の惨状を終わらせること、そして貿易に関する問題」と述べた。さらに、トランプ氏は、プーチン氏との会談後には、ウクライナのゼレンスキー大統領ともに直接会談する予定であり、その後はゼレンスキー氏と共にNATO加盟国との協議に臨む意向を示した。トランプ氏はSNSの投稿の中で、「願わくは、実りある一日となり、停戦が実現し、この非常に激しい戦争、決して起こるべきではなかった戦争が終結することを」と記し、最後に「神が私たち全員を祝福してくださるように」と祈りを込めた。

5月16日、ロシアとウクライナの代表団が3年ぶりに直接対面する形式で協議を行った。今回の協議は、トランプ氏による停戦圧力の強化を受け、ロシア側が提案し、実現に至ったものとされる。協議の場所に選ばれたのは、3年前と同じ地となるイスタンブールで、トルコ政府が仲介役を担った。会場に着席した両国の代表団には、服装に象徴的な対照が見られた。ウクライナ代表団の半数以上が軍服姿で臨んだのに対し、ロシア側は全員がスーツを着用。軍事色の強いメッセージを発信するウクライナと、対照的に、ロシア側は「外交的演出」を意識したものと見られた。また、使用された言語も、過去との違いを際立たせた。2022年の協議では、ロシア語で直接対話が行われたが、今回はウクライナ語も使われ、双方が通訳を通じて、意思疎通を図る形式に変更された。

協議の焦点となったのは「停戦」の是非とその条件となった。ウクライナ側は「無条件の停戦」を強く求めたが、ロシア側はこれを拒否。ロシア側は停戦の条件として、ウクライナ軍がロシア軍の未制圧地域からも撤退すること、クリミア半島を正式にロシア領と認めること、の2点を提示した。さらに協議中、ロシア側がウクライナ北東部のハルキウ州およびスムイ州を「新たに占領する可能性がある」との警告を発したとの情報も浮上している。ロシアとウクライナの代表団による直接協議が行われたことを受け、ロシア代表団は協議終了後、「結果には満足している」との認識を示した。その上で、今回の会談で合意に至った主要な3項目の内容を明らかにした。第1に、近日中に実施される見通しとなったのは、1000人対1000人という大規模な捕虜交換。第2に、ウクライナ側は首脳間による直接会談の開催を正式に要請。ロシア側はこの要請について検討を進めている。第3の合意事項は、将来的な停戦の可能性について明文化し、詳細なビジョンとして文書にまとめることで合意した。これらの文書が相互に提示された後、継続的な交渉を行うことが「適切である」との認識を共有した。

トランプ氏は中東歴訪の途上で、両国の直接協議への関与の可能性について相次いで言及し、「参加する可能性がある」と語り、外交的な波紋を広げた。5月11日、ホワイトハウスを中東に向けて出発する際、トランプ氏は「私はトルコに飛んで行くことを考えていた」と発言し、協議への出席を示唆。以降の発言は、歴訪先ごとに変化を見せ、発言のブレが注目された。14日には、サウジアラビアからカタールへ向かう大統領専用機内では「彼(プーチン大統領)は私がそこにいることを望んでいるだろうし、それも可能性のひとつだ」と語り、プーチン氏との共演を自ら演出するかのような言及を行った。15日、カタール・ドーハでは「(イスタンブールへ)行くことを考えていたが、非常に厳しい。もし何かあって適切なら16日に(トルコに)行くだろう」と語り、態度は一時的に後退したものの、同日、アラブ首長国連邦(UAE)へ向かう大統領専用機内では、「私とプーチン氏が会うまで何も起こらない。私が行かなければプーチン氏も行かない」と強調。協議の成否が自身の動向にかかっているかのような姿勢を示した。16日、UAEから帰国の途につく大統領専用機内では、「私たちは会わなければならない。私は彼(プーチン氏)と会うつもりだ」と述べ、再び協議参加への意欲を滲ませた。

欧州連合(EU)は、ロシアの対ウクライナ侵攻を巡る対応として、新たな対ロ制裁パッケージの発動に踏み切る構えを強めている。これは、5月16日、アルバニアの首都ティラナで開催された欧州政治共同体首脳会合を受けての動きで、米AP通信によると、早ければ5月20日にも発効する可能性があるとされている。同首脳会合には、ウクライナのゼレンスキー大統領も出席し、欧州各国首脳と活発な意見交換を行った。フォンデアライエン欧州委員長は会合直前に、「ゼレンスキー大統領は一貫して会談の用意があったが、プーチン大統領は一度も会談に出席しなかった。これは彼の真の信念を物語っている」と指摘。その上で、「圧力を強めていく」と述べ、EUとして、新たな制裁措置の準備を進めていることを明らかにした。今回のパッケージには、ロシアと欧州を結ぶ海底ガス・パイプライン「ノルドストリーム」への制裁措置、ロシア金融機関に対する制裁、ロシア産原油価格の上限引き上げなどが盛り込まれる見通しとなっている。トランプ氏は16日放送のFOXニュースのインタビューで、「正直に言って、もしウクライナとロシアが合意に至らないのであれば、制裁を発動する」と明言したうえで、「ロシアにとって痛手となる。経済が苦境に立たされている。原油価格も低迷している」と語り、欧州と足並みを揃えて対ロ制裁を強化する姿勢を示唆した。

★ゲスト:駒木明義(朝日新聞国際報道部記者)、小谷哲男(明海大学教授) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)

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