1966年に開店し、長崎市浜町の「顔」とも言われたスーパー「S東美」が入居するビルの老朽化に伴い、29日午後7時に58年の歴史に幕を下ろし、閉店しました。
佐々木達也社長:
「おはようございます。いらっしゃいませ。お世話になりました。ありがとうございました」
営業最終日の29日も、開店からいつものように佐々木達也社長が入口でお客さんを出迎えました。S東美は1966年10月1日に開業。長崎出身で佐々木社長の祖父に当たる創業者の房男氏は、著書で、当時、全国規模のスーパーが浜町への進出を狙う動きを警戒し、商人として「県外資本に食い荒らされぬよう防波堤になろうと決意した」と綴っています。
かつてはビルにバッティングセンターや映画館まで入り、娯楽施設とともににぎわったS東美。佐々木社長にとっても遊びの場でした。
佐々木社長:
「ゲームセンターもありましたし、レーシングカーのコースもあったり、地下でお好み焼きを食べたり、パフェを食べたり子どもの頃に。会社とはいえ、遊ぶ場所が多い楽しい場所だった」
開店以来、「優良品が豊富で安い」をスローガンに、市民生活の需要に合わせた商品をそろえてきました。
ただ、開店から58年。入居するビル「長崎松竹会館」は老朽化が進み、解体が決定。S東美も閉店の道を歩まざるを得ませんでした。
佐々木社長:
「お客様への感謝の気持ち、社員への感謝の気持ちしかない。寂しいですけど、まだまだお客様にお喜びいただけるお店をつくろうという気持ちでいっぱいです。浜町がナンバーワンであるという誇りを持って、浜町の商売人として商売してまいりましたので、浜町で仕事をさせていただいたことに関しては本当に誇りに思っていますし、これからもずっと素晴らしい商店街であり続けるだろうと思っています」
社員も、お客さん一人ひとりに長年の感謝を伝えました。
女性客(77):
「悲しいよね。毎日来てました。どうしてなくなるんだろう。またどこかにできたら」
女性客:
「開店の日も来たから、最後も皆さんにありがとうって伝えに来ました。大丸もなくなりましたし、岡政も。寂しいですね」
男性客(69):
「(開店時に)おもちゃが欲しくて祖父と一緒にずっと並んでいたんですよ。これだけの年数があっという間に過ぎたなって思います。小学生の頃に初めて開店の時に並んだ時から何十年も経ってますからね。ずっと買い物していたから寂しいです」
街の中心部で市民の生活に寄り添い続けてきたS東美は、29日午後7時、58年の歴史に幕を下ろしました。