諫早市の県立こども医療福祉センターで利用者の子どもたちに性的虐待や心理的虐待を行ったとして、県は男性看護師(63)を停職5カ月の懲戒処分とし、看護職員2人を厳重注意としました。
県障害福祉課・佐藤隆幸課長:
「被害を受けられました利用者、保護者の皆様、県民の皆様に対し、深くおわびを申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」
諫早市の県立こども医療福祉センターでは去年8月、県によるハラスメント調査で、「虐待が疑われる行為」が発覚。今年6月、内部調査を続けてきたセンターからの通報を受け、県は職員や被害を受けた子どもたちへの聞き取りや保護者らへアンケート調査を行ってきました。
その結果、県は7~8年前から今年までに入院・入所する子どもたち11人への性的虐待や心理的虐待が14件あったと認定し、そのうち12件に関わった63歳の男性看護師を停職5カ月の懲戒処分にしました。
看護師は2014年から勤務し、男児の排泄の失敗を周囲に聞こえるように話したり、女児の入浴介助の際に脱衣所に入ったりしていました。
「傷つけるつもりはなかった」と話し、2日付で依願退職しました。
このほか、児童に対し侮辱的な発言をしたなどとして、看護職員2人を厳重注意に。3人の上司に当たる監督責任者2人を文書訓告としたほか、センターに対しても改善勧告や改善指導をしました。(次長級・部長級の2人)(医療型障害児入所施設に「勧告」、病院に「指導」)
県は調査と同時に子どもの心理や権利の専門家による検証委員会を設置。その検証報告書では虐待が起きた背景として、管理職を含め多くの職員に虐待への知識や認識が不足していたことや問題と捉えた職員が同僚や上司に相談しても周りが重く受け止めなかったことなどが指摘されました。「組織として虐待対応が機能していなかった」とされています。
県監査指導課・松尾実課長:
「職員それぞれが虐待に当たるかという認識が持てていなかったことが大きな問題点。直属の上司には報告されていたが、そこから上への報告が、虐待に当たるとの認識がないためにできていなかった」
県は検証委員会の提言を踏まえた再発防止策を講じ、1日も早い信頼回復に努めるとしています。