アニメや漫画のキャラクターになりきる「コスプレ」。一大文化として進化し続け、地方経済を大きく動かす存在になっています。県内のコスプレ最前線の現場に下田アナウンサーが潜入!そして、驚きの大変身です。
“憧れのキャラになりきる”だけじゃない。“好き”を通して広がるつながりと、解き放たれる自分。漫画やアニメ、ゲームなどのキャラクターになりきる「コスプレ」。今、世代を問わず「自己表現の手段」として、そして「経済」を動かす文化へと進化しています。
6月1日。長崎県内で開かれたコスプレイベント「JACS(ジャックス)」。
下田朋枝アナウンサー:
きょうはなぜ参加されようと?
参加者:
いろんな方と交流できるのが毎月の楽しみなので参加しました
下田アナ:
コスプレの魅力は?
参加者:
なりたい自分になれるような、そんなところ
これ(コスプレ)だけが楽しみです
下田アナ:
コスプレの魅力は?
参加者:
(好きなキャラクターへの)愛を表現できること
コスプレを楽しむ人の数は年々増え、衣装やウィッグ、撮影スタジオにイベント運営まで、今や関連市場は、全国で470億円規模ともいわれています。(矢野経済研究所)
イベントを主催するSatoさん(41)は、かつては“オタク”を隠していた一人。同じ趣味を持つ仲間とのつながりが人生を豊かにしていきました。
Satoさん:
オタクってちょっと恥ずかしいというか、隠したいような、お友達がちょっと作りにくかったり
Satoさん:
そういう時にこういう場を設けて、みんなが一つのコンテンツを好きということで集まって、友達も作りやすくなるし、で、また一緒に今度来るというような輪ができていったらいいなって
住田怜良(すみだ・れいら)さん(25)は、母 昌美(まさみ)さん(48)にヘアメイクを手伝ってもらってコスプレを楽しんでいます。
母・昌美さん:
本人が楽しそうなので、人とのかかわりもありますし
怜良さん:
家でじっとしているよりは明るいよね
イベントを楽しんでいるのはコスプレイヤーだけではありません。コスプレイヤーにカメラを向ける女性カメラマン 中村七海さん(25)。
下田アナ:
ご自身はコスプレされない?
中村七海さん:
私はしないですね。もともとアニメとかが好きで、コスプレイヤーさんとか見ていたら私も撮りたいなと思って。バイトしてお金貯めてカメラ買って始めました
中村さんは地元の島原市で、かつてスナックだった空間を自らの手で改装し、1年前にレンタルスタジオをオープンさせました。
中村七海さん:
バーカウンターがあるスタジオってなかなかないので、長崎県自体にもこういうコスプレとか自由に撮影できる場所はまだまだ少ないので、やりたいなと思って
スナックの面影を残すバーカウンターに、小道具も充実。持ち込みも自由で、自由な発想を形にできる空間です。
中村七海さん:
自分の表現したいことを自由に表現できる場だと思っているので、自由に使っていただけたらうれしい
コスプレを通して表現を支えたいという思いが、スタジオになりました。コスプレは思いもよらない出会いや世界を広げてくれる。中村さんのスタジオもそんな広がりを生む場所になっています。
長崎大学では、3年前に誕生したコスプレサークル「Costellar(コステラ)」が活動中。20人以上の学生たちがメイクや撮影、ポージング練習に励んでいます。
部長 錆ノ助さん(20):
コスプレって世間一般では、やっぱりあまり親しみのない文化だと思いますが、あまり触れる機会がないコスプレという文化に触れる機会を与えてくれる場所かなと思います
衣装や髪に動きを出すことで、写真に躍動感や立体感を加えるテクニック「ひらみ」。この「ひらみ」に懸命に励む女性は、コスプレサークルを立ち上げた初代部長 尾﨑楓さん(23)です。卒業後もコスプレを続けています。
尾﨑楓さん:
どんなに仕事がきついなと思ってもコスプレしたら違う自分になれるし、コスプレイベントに行ったら同じ趣味で仲良くしている子もいるので、すごくストレス発散にもなります
話題は長崎のコスプレイヤーへ。
赤星航平さん(23):
長崎を中心に活動されていて有名な方といったら「ひよっこさん」という方がいらっしゃって、その方は結構、すごく有名だと個人的には思います
下田アナ:
お会いしたことは?
赤星航平さん:
イベントとかで見かけたことはあるが、直接お話したことはなくて個人的にも割と雲の上の存在だなというイメージ
そういえば、女の子たちも「ひよっこさん」のことを話題にしていました。
下田アナ:
そんな有名なんですか?
みんな:
長崎で有名。憧れ。
山村実夢さん(21):
男装はちゃんと男装になって、女装はちゃんと女装になるのがすごい。
浦川恵さん(23):
なにやっても似合う
噂の「ひよっこさん」は県内在住のコスプレイヤー。SNSの総フォロワー数は1万8000人!九州にとどまらず、関東や海外でも活躍しています。なんと、今回はこの特集のためにNCCに来てくださいました。大きなスーツケースに大量の荷物…。一体何に使うのでしょうか…
下田アナウンサーもコスプレに挑戦。カラーコンタクトを装着します。
「一度やってみたかった…!」そんな下田アナウンサーの夢を叶えるべく人気コスプレイヤー ひよっこさんが完全サポート。
下田アナ:
アートみたいですよね、もはや
2時間後、人気スマホゲームのキャラクターに変身完了です。
いよいよコスプレ撮影へ。
長崎市の観光名所「長崎孔子廟」。いま、孔子廟は「コスプレ予約」専用の申し込みページを開設するほど、撮影スポットとしても注目を集めています。
孔子廟 山下典子さん
(コスプレ予約を開設したのは)大体5年前くらいです。それ以前には電話やメールで希望する方が多かったので、せっかくならということで予約がしやすいようにホームページに設置しました
孔子廟のコスプレ来場者はこの3年間で、700人を超えています。
孔子廟 山下典子さん
私たちにとっても若い世代の方に孔子廟を知っていただくきっかけと思っていますので大変うれしく思っています
撮影するのは北九州から駆け付けたカメラマンの「Si(スイ)さん」。実はコスプレイベント「ジャックス」で取材したときには、コスプレイヤーとして登場していた方です。
Siさん:
こうやってみるといいんじゃないかなみたいな提案ができるので、良いかなと思う
「ひよっこさん」と「Siさん」の2人は、好きな作品を通して知り合ったそうです。
ひよっこ:
お互いこういうの撮りたいとかそういうのを出し合ったりとか、カメラマンさんとは世界観をね
Siさん:
話し合ったりしつつ
下田アナ:
一つの作品を作るために協力し合うみたいな感じですよね
ひよっこさん:
キャラになりきるのが楽しいってよりは、好きな作品を表現手段としてコスプレでカメラマンと一緒に写真を通してそういう表現をするのが私は楽しい
コスプレは今、年齢や性別を越えて広がっています。その一方で公共の場でのマナーやプライバシー配慮など、文化として成熟していくための課題もあります。
ひよっこさん:
いろんな理由でコスプレされている方がいると思うが、私の場合は「世界観を表現したい」だったりとか、キャラクターの背景を自分なりに考えて表現するとか、そういう「アートとしてのコスプレ」としての理解を皆さんにいただけるのがうれしいなって思います。いろんなロケーションを生かして長崎がもっともっとコスプレだったり、サブカルチャーだったりで盛り上がったらいいな
好きなものに真剣に向き合い、表現し合うことで生まれるつながり。コスプレは今、自由と創造の文化として、長崎でも確かに息づいています。