去年、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の代表委員で、長崎の被爆者、田中熙巳さん(92)が国会で意見陳述し、来月の核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を見送った政府を「情けなく、残念だ」と批判しました。
田中さんは25日、衆議院予算委員会の公聴会で意見陳述しました。
日本被団協・田中熙巳代表委員(92):
「一番強く主張できるのが日本政府だと思っておりますので、その役割を十分果たしてほしいということが私たちの願い。ただそれが全然通らないというのは本当に怒りたくなるような情けなくなって残念だ」
岩屋外務大臣は今月18日、「核による拡大抑止が不可欠」として、オブザーバー参加の見送りを表明。「参加は、日本の核抑止政策について誤ったメッセージを与える恐れがある」との見解を示しました。
日本被団協・田中熙巳代表委員(92):
「なぜ日本政府は参加しないんだと言われるわけです。一番悔しい、恥ずかしいこと。日本政府はあなたたちのことを聞いているでしょうと」
また田中さんは、戦争の被害は国民が等しく我慢しなければならないとする政府の「戦争被害受忍論」は「間違っている」と批判しました。
日本被団協・田中熙巳代表委員(92):
「原爆の被害は我慢しないといけない被害だったのか、これは絶対に認めるわけにはいかない。核抑止論は間違っていると核兵器は使ってはいけないという考え方でやらなければ、核兵器が使われた時の被害は何十万人という死者・負傷者を出すわけですからこういう被害に対して国が財政的に本当に責任持てるのか」
田中さんは、「市民に被害を我慢させるままの国防は絶対に制度上も法制上も誤っている」と強調しました。