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2024/08/09

岸田総理が被爆体験者と初面会 「解決への具体策を」厚労大臣に指示

岸田総理は被爆者健康手帳が交付されず、国が被爆者と認めていない「被爆体験者」と初めて面会。
岸田総理は同席した武見厚労大臣に対して早急に課題を合理的に解決できるよう具体策の調整を指示しました。

式典後、岸田総理は、例年の被爆者4団体に加え、被爆体験者3団体の代表者と初めて面会しました。

代表者らは核兵器禁止条約の署名・批准や核保有国への条約参加の呼びかけのほか、爆心地から12キロ以内で長崎原爆に遭いながら、国が指定する被爆地域の外にいたとして被爆者と認められない「被爆体験者」を被爆者と認めることなどを求める要望書を出しました。

被爆体験者団体の1つ「第2次全国被爆体験者協議会」代表の岩永千代子さん(88)。「被爆体験者」として9日に初めて総理と面会しました。

第2次全国被爆体験者協議会代表・岩永千代子さん(88):
「総理に申し上げます。私たちは被爆者ではないのでしょうか。今回の被爆体験記調査に対して、当事者が素直に記述していることを価値がないかとのように切り捨てた厚生労働省の回答はあまりに無礼だと思います。低線量被ばくで健康被害はないと決めつけないで、内部被ばくがいかに人体を蝕むか研究を深めてほしいのです」

被爆体験者については広島と長崎で対応が異なります。広島では、被爆地域の外であっても、放射性降下物を含む「黒い雨」を浴びたと訴えた裁判の原告や同じような事情にあった人たちは被爆者と認められた一方、長崎の被爆体験者は救済の対象外で、被爆者健康手帳は交付されていません。また厚労省は去年7月から国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館が所蔵する被爆地域外にいた人などの被爆体験記を抽出調査。その結果、「黒い雨」が降ったとは「客観的事実として捉えることはできない」と結論付けています。

岩永千代子さん(88):
「広島の黒い雨体験者を被爆者と認め、すでに手帳を交付しています。同じような状況の私たちを認めていないのは、憲法14条の法の下の平等に違反し差別です。でも本日、総理は被爆者の方々同様に被爆者だと認めてくださると信じます」

岸田総理の回答はこれまでの政府の対応から、一歩踏み込むものでした。

岸田総理:
「被爆体験者の方々は高齢化されておられます。また広島との公平性についてもご指摘がありました。政府として、早急に課題を合理的に解決できるよう厚生労働大臣において長崎県、長崎市を含めて具体的な対応策を調整するよう指示を致します。厚生労働大臣、ぜひこの課題について真剣に具体的に取り組んでもらいたいと思います」

岸田総理は岩永さんの前で、同席した武見厚労大臣に対して直接、解決へ向けた具体策を調整をするよう指示しました。総理が大臣に公の場で直接指示を出すのは異例の対応です。そして、面会時間の30分が過ぎて総理が退出しようとした時…。

被爆体験者の支援者・平野伸人さん(77):
「聞いてください。被爆体験者は被爆者じゃないんですか。弱い人の声が聞こえないんですか」

被爆体験者の支援者が総理に厳しく救済を迫る一幕もありました。

岸田総理:
「ぜひ一生懸命やりますので。お気持ちはよくわかります。ぜひよろしくお願いします」

総理退出後には、指示を受けた武見厚労大臣に対して、被爆体験者や被爆者団体の代表らは科学的な根拠に基づき、被爆体験者を早急に救済するよう求めました。

武見厚労大臣:
「総理のご指示に基づいて早急に合理的な解決方法というものについて検討させていただきたいと思います。私はこちら側のご理解いただける一つの大きな前進であるというふうに理解されますが、ぜひご理解いただけることを皆様方には心からお願い申し上げます」

岩永千代子さん(88):
「大臣に向かって指示をした、私たちの目の前で指示をしたということはこれはうそではないので絶対に明るい方向に進展していくんじゃないかなと明るい気持ちになりました。抗議でもないし、闘争でもない。事実を事実のまま伝えることが使命だと思う。だから、そこで分かってほしい」

被爆者らとの面会を終え、会見を開いた岸田総理は、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約に批准していない核保有国を具体的に動かすことに力を尽くしていかなければならないと述べました。

岸田総理:
「核実験を禁止するということ、それから核兵器の物質の生産を禁止するということ、この2つの切り口から具体的な核兵器を無くす、核兵器のない世界に向けて前進する糸口をつくっていかなければならない。こういった取り組みを進めることによって、核兵器禁止条約も目指している核兵器のない世界に核兵器国をどれだけ近づけることができるか。こういった努力を進めていくことが唯一の戦争被爆国、日本の外交において重要であると認識をしています」

被爆者手帳友の会・朝長万左男会長(81):
「(岸田総理は)核兵器国を禁止条約の方に近づけないといけないと言われたんです。これは初めてだと思いますよね。核兵器国を(条約に)引っ張ってくる。そういう役割を担うべき国が日本じゃないかなと思う。岸田さんもそう思ってると思うんですよね」

また、日本を除くG7の駐日大使が欠席したことについて岸田総理は、「式典は長崎市が主催の行事なので、政府としてコメントをする立場にない」としました。

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